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[イベントレポート] CS寺子屋Vol.12「サイボウズの事例公開!CS事業貢献度の可視化とCX全体設計」

カスタマーサクセスは、会社からプロフィットセンターとしての役割・期待を任されています。収益に貢献するためには、事業貢献および顧客体験の可視化と、PDCAによる継続的な進化が欠かせません。

ですが、お悩みを相談いただくカスタマーサクセス担当者からは「何から始めれば良いかがわからない」、「独自に取り組んでいるが、それが正解かがわからない」といったお声も良く耳にします。

CS寺子屋 Vol.12では「サイボウズの事例公開!CS事業貢献度の可視化とCX全体設計」というテーマで、サイボウズ株式会社 大脇さんをお招きし、カスタマーサクセス担当者を対象としたCSの事業貢献度の可視化(数値化)と、CS起点で行う顧客体験設計の実践事例をお話いただきました。


スピーカー紹介

サイボウズ株式会社
カスタマーサクセス部 副部長 大脇 一起

2014.4   北海道電力(株)に新卒入社
2018.5   サイボウズ(株)に転職
2020.1   カスタマーサクセス部を立ち上げ
 ‐ 「 kintone 」「 Garoon 」の CS チームを立ち上げ
     – グローバル拠点の CS チーム支援を担当
2023.1~ カスタマーサクセス部副部長  兼 事業戦略室

<趣味>
バンド活動・茶道・読書・銭湯


サイボウズ株式会社のカスタマーサクセスについて

当社は4つの主力商材を軸に事業を営んでいます。今日はkintoneのカスタマーサクセスを中心にお話します。

kintoneは契約社数31,000社を超え、月550社ほど継続的に受注しているサービスです。ノーコード / ローコードツールのため、プログラミング知識が無い方でもマウス操作でデータベースや業務システムを構築できるプラットフォームを提供しています。

組織体制について

組織体制は職能別で本部が分かれています。私が所属するカスタマー本部は元々カスタマーサポートからスタートしましたが、今ではカスタマーサクセス、カスタマーマーケティング、コミュニティ推進を加えた4つの部署が存在しています。

(今回のテーマでは扱いませんが、現在はここに本部戦略、サポート企画、地域ブランディングの3部署を加えた7部署体制で「カスタマー本部」となっています)

部署の中では、プロダクト単位でチームをわけています。プロダクトごとに顧客やカスタマーサクセス手法も違ってくるためです。

ただし、組織拡大によって縦割りな部分最適が生まれやすくなりました。そこで今年から「カスタマーサービスを部門横断でマネジメントして、戦略設計や金額ベースの解約率に責任を持つ」既存顧客特化のPMMのような役割を新設しており、kintoneに関しては私がCS組織のマネジメントと兼務で担当しています。

ここからは、立上げから事業貢献化にこだわってきたkintoneのサクセスチームについてお話します。

kintoneCSの歴史と体制

kintoneのサクセスチームは、2020年1月から立上げをおこないました。「3年で立上げフェーズを成功させる」ことを目標に活動を開始し、はじめの1年目は採用と業務設計の毎日でした。2年目は急激にチーム人数が20人規模に増加したため、組織作りに注力しながら組織を最適化していきました。あっという間に3年目に突入し、実績の証明にむけて活動や成果の定量化に取り組みました。そこを乗り越えて今はレバレッジ&成長期に踏み込んでいます。2023年1月からリーダーの引き継ぎもおこない、新体制のサクセスチームで活動を開始しています。

kintoneサクセスチームはマネージャーやリーダーを含めた23名が所属していて、それを7つのサブチームに分類して活動しているのが特徴です。

顧客支援は顧客の企業規模別(Enterprise / Middle / SMB)に3つのセグメントで分類してサブチーム化しています。

後方支援/企画は、以下の4つのサブチームがあります。

✓ CS Ops → オペレーションの運用・改善 / データ活用
✓ Hub → CSメンバーの育成 / チームビルディング
✓ Adoption   → 社内浸透支援の企画
✓ CX Research → 顧客体験のリサーチ / CJMの運用

特徴はリサーチの専門チームをおいている点です。to Cの企業ではたまに見かけますが、to BのSaaS企業でおいているのはまだ珍しいと考えています。

kintoneのヘルススコアとCS事業貢献可視化について

ヘルススコアは、立上げ初期の2020年6月〜11月に、私とPMMとデータサイエンティストの4人でVersion1を作成しました。はじめは以下の流れでクイックに作成をおこなっています。

1.私自身のハイタッチによるカスタマーサクセス経験からサクセスパターンを言語化
2.データサイエンティストが1の仮説をベースに定量データ分析をおこない、スコア化

ヘルススコアの考え方は、アクセスログをベースに「行動力」「活用度」「浸透度」で100点満点のスコアを作成しています。

✓ 行動力 → 当社サポートコンテンツにユーザー側から能動的にアクションをしているか
✓ 活用度 → kintoneの機能を満遍なく頻度高く触ってもらえているか
✓ 浸透度 → 管理者だけでなく、利用ユーザーまで均等にログイン / 操作しているか
        例)100人中80人は毎日トップページまできている、など。

kintoneはサクセスパターンが定型化しにくいプロダクトで、ユースケースが多様かつ業種・職種も問わないサービスです。そのため、ヘルススコアの指標となっている項目も20項目近くあり、少し複雑な作りになっているかと思っています。

ヘルススコアの分析結果

全顧客のスコアを週次で自動取得して、CRMと紐づけをしています。それをベースにCSが良質な支援をおこなうことでヘルススコアが向上することは統計的に証明ができている状況です。

図の箱ひげ図では、契約から半年までの各月のヘルススコアについて、1年以上契約している群とヘルススコア計測月の翌月から契約後1年までに解約した群を比較しています。比較すると、ヘルススコアに有意差があることがわかります。

2021年に契約したドメインを母集団として実績を確認したところ、同じくヘルススコアが高い群の解約率が低いことがわかりました。これらの分析を通じて、カスタマーサクセスで「良い活動」をすることによってヘルススコアが上がり、それによって解約率が低減するという相関関係を証明することができました。

CS事業貢献の可視化

2022年の実績から、以下の試算をおこないました。計算上は「LTV〇〇億円+α」の事業貢献に繋がっていると試算できています。

① 各Tierごとに「CS支援フラグ」有無による解約率の差を統計解析
  ※良いカスタマーサクセス活動を「CS支援フラグ」として定義
② 各Tierごとの月額顧客単価(平均)を算出
③ kintone既存契約の粗利益率を確認
④ 各TierごとにCS支援フラグ有無でグループを分けて、
  1顧客あたりLTV( = 粗利益率 × 月額顧客単価 × 1 / 解約率)を算出
⑤ CS支援フラグ有無による1顧客あたりLTVの差分に、
  CS支援フラグ有の顧客数を乗算し、LTVに対する影響試算が完了

ここからは、事業貢献度可視化による影響をお話します。

□ CSの立上げフェーズ成功が説明可能

「カスタマーサクセス組織は本当に必要なのか」「組織が無い方がコストが下がるからいいのではないか」という問いに対して、粗利益率ベースで必要性を訴求できるようになりました。

□ 社内周知や事業戦略資料に掲載

カスタマーサクセスの事業貢献実績をもとに、PMMが社内に周知活動してくれています。また、事業戦略上で重要な資料に掲載させてもらえる機会が増えました。

□ 社内外の良い評価コメント

社外取締役の方へ直接説明をさせていただく機会があったのですが、その時に嬉しい評価コメントをいただいたり、外部のIT協会主催の表彰制度で「特別賞」をいただくこともできました。

CSチャネルを活用した定性リサーチ

カスタマーサクセス組織のROIを向上していきたいときは、顧客中心のUX / CXを設計・推進していくことが必要です。そうすると、カスタマーサクセスが一番顧客に近いため、いかに顧客の「解像度」や「関係性」の強みを磨いて、社内のモノ / サービスづくりに還元していけるかが重要だと考えました。

また、プロダクトフィードバックという文脈があるかと思いますが、カスタマーサクセスがリサーチチャネルとして価値を高めていくことができれば、ビジネスサイドだけでなく、開発サイドのROIに還元できるんじゃないかと考えています。

「カスタマーサクセスの肌感覚でフィードバックする」ことを超えていくためには、リサーチの「スキル」や「スキーム」の習得 / 構築が必須と考えていまして、個人としてもPdMやUXリサーチのチームに体験入部して学びにいきました。

実際に、運用中のリサーチ手法を幾つか紹介します。

✓ CXデプスインタビュー(45分) → お客様に1対1のインタビューをおこなう手法です。
✓ CXミニヒアリング(2~3問)  → 顧客対応した後に、最後の5-10分で2-3問
                   質問させていただく手法です。
✓ アンケート → ウェビナーをする際に、事前事後アンケートはもちろんですが、
          投票機能を使ってクイックに意見を取得しています。
          また、受注や解約のタイミングでもアンケートを送付しています。

特に、CXデプスインタビューは、開発チームがいざ実施しようとすると少なくないリクルーティングコストがかかるケースもありますが、カスタマーサクセスでリクルーティングしようとすると、基本的に「〇〇さんが言うのであれば喜んで協力しますよ」といった流れで、お客様から前向きに協力いただくことが多いので効果が高いと感じています。ただし、CSが支援しているという意味で、セレクションバイアスがかかりやすくなる点は注意しています。

また、運用時にはカスタマージャーニーマップや、KA法を用いたリサーチ結果のまとめをおこなうこともしています。

定量&定性分析で見えてきたことのサマリ

ここからは、2023年からのカスタマーサービス全体の活動や定量&定性分析で見えてきたことのサマリをお話します。

今まではカスタマーサクセスを中心に見て、どうやったら解約との繋がりを証明できるかを考えてきました。しかし、2023年からは「カスタマーサポートやカスタマーマーケティング、コミュニティも含めた全体でみていく」ことが課題と捉えて活動してきています。

また、今後も顧客数が増えていく中で、カスタマーサクセスはより狭く深く、EP / MID向けのNRRに寄せた活動に重心をシフトしていきたい。そうした際に、カスタマーサポート / カスタマーマーケティング / コミュニティと、どう連動することができれば、SMBで継続率を維持 / 向上しながら、カスタマーサクセスの省力化が進められるかを2つ目の課題としています。

今は、この2つの課題に向き合うために、全体最適なフォーメーションを組み、KGI/KPIツリーを立てて、今まで縦割りでバラバラに動いていたカスタマーサポート / カスタマーマーケティング / コミュニティと横ぐしで連動しながら、全ての活動を「共通目標 / 共通戦略」に向けてドライブしていきたいと考えています。そのためにも、まずは各手法の解像度を上げていきたいと考え、リサーチ手法を用いながら、カスタマーサポートやカスタマーマーケティングを分析していきました。

カスタマーサポートの分析 / リサーチ

カスタマーサポートには以下の2つの問いをおこないました。

  1. サポートに問い合わせると解約率は下がる?
  2. サポートに問い合わせせずに解約してしまう人をどう救える?

分析 / リサーチの結果、2つのことがわかりました。

□ サポートはヘルススコアが下がりにくくする効果がある

サポートに問い合わせをするユーザーは”問い合わせ前からヘルススコアが平均的に高め”であり、サポートを利用することによって”ヘルススコアが上がることはないが、下がりにくくなる傾向にある”ということが見えてきました。ヘルススコアが高い(解約リスクが低い)人たちが問い合わせをしているので、そもそも解約率は低い。つまりバイアスがかかってるということです。

ではサポートは意味がないのかというと、そうではありません。ヘルススコアを下げない働きをしてくれることによって、解約リスクが低い状態を保持してくれているという仮説が濃厚になってきました。

□ 解約リスクが高い人をサポートだけで救うことは難しい

「質問を言語化するのが難しい」「何がわからないかがわからない」「勉強不足で申し訳ないのでもう少し調べる」など、サポートに問い合わせするにあたって一定の技術的 / 心理的なハードルがあるということがわかりました。つまり、待っているだけでは解約リスクが高い人は救いきれないため、サポートだけでカバーするのは難しいし、得意ではないことがわかっています。

カスタマーマーケティングの分析 / リサーチ

カスタマーマーケティングには以下の2つの問いをおこないました。

  1. コンテンツに触れると解約率は下がる?
  2. コンテンツの影響 / 効果はどの程度?持続性はあるか?

分析 / リサーチの結果、2つのことがわかりました。

□ セミナー受講済ユーザーはヘルススコアやライセンス数の伸びが良い

セミナー受講済ユーザーは、未受講ユーザーに比べ、一定期間経過後のヘルススコアやライセンス数の伸びが良い傾向がみえてます。ただ、これは「そもそもセミナーに来る人はそういう人が来てるのではないか」というセレクションバイアスの可能性や、セミナー自体の影響かどうかを確認するための受講前後の変化も含めて追加で分析を進めているところです。

□ カバー範囲は広いが、単発の効果は賞味期限が短い

セミナー受講直後に「すごく学びになった、早速〇〇を実践したい」とアンケート回答があったユーザーに1か月後インタビューをしたところ、「どんな内容でしたっけ・・・よく覚えてないし、何も実践していない」という回答があり、衝撃を受けたことがありました。それを受けて、カスタマーマーケティングは広くカバーできる半面、単発の効果は賞味期限が短いのかもしれないという仮説が見えてきています。

コミュニティの分析 / リサーチ

コミュニティには以下の2つの問いをおこないました。

  1. コミュニティに参加すると解約率が下がる?
  2. 解約リスクが高いユーザーをコミュニティで救える?

分析 / リサーチの結果、3つのことがわかりました。

□ コミュニティ参加後の活動によってヘルススコアが安定 /微増する傾向

コミュニティ参加ユーザーは、参加前からヘルススコアが平均的にかなり高めでした。また、コミュニティ活動によってヘルススコアが安定 / 微増する傾向がみえていることから、活用が進んでいる方に、より活用を促進するような動きは効果があるのではないかと考えています。

□ 得られる価値の一つは「安心感」「モチベーション」

コミュニティによって得られる価値は、同じ課題を抱える存在との繋がりによる「安心感」「モチベーション」など定性的なものも多いことがわかりました。

□ アダプションフェーズに親和性が高い

「ある程度、自分で活用してみてからでないと参加しにくい」などの意見があり、オンボーディングフェーズではなくアダプションフェーズ以降に親和性が高そうだと感じています。

このような結果がでている一方で、kintoneは初年度の解約リスクが高いサービスのため、契約初年度から上手くコミュニティを活用いただければ、解約率を低減することができると考えています。

特に、コミュニティ運営はコストがかかる一方で費用対効果が見えにくく、効果が出るまで時間がかかるため、何をもってコミュニティが事業貢献していると言えるかについては様々な角度から探求を進めています。

カスタマーサービス全体のグランドデザイン

分析 /リサーチをおこなったことで、CXにおける様々な手法は互換関係になく、それぞれの手法に強みや弱みといった特性があるということが見えてきました。例えば、オフラインセミナーよりオンラインセミナーの方が上位版だったり、ロータッチよりハイタッチが優れているなどといった互換性は「ない」と考えています。

カスタマージャーニーを構築する際は、顧客への理解を深め、様々なCX手法の特性を理解したうえで、自社のサービスに適した全体のグランドデザインを組み立てる視点やスキルが必要と感じています

CX設計において、「魔法の杖」は存在しません。どの顧客に、どのタイミングで、どの手法を適切に届けていくのが1番の全体最適になるのか、パズルのような視点で考え続けることを愚直におこなっています。

(あえて…)すごくミクロな取り組みの具体例

分析 / リサーチの結果から、細かい施策や改善も続々と生まれていますので、少し紹介します。

✓ CSが支援前後にとったアンケートやヒアリング情報に応じて
  MAツールでカスタマーマーケティングの機能学習コンテンツを自動配信
✓ 初心者向けのオリエンテーションセミナーを受講状況に応じてMAツールでリマインド
✓ セミナーの最後に、ジャーニーに応じた「次」の行き先を「絞って深く紹介」
✓ コミュニティの入り口となる「ビギナーズ倶楽部」という初心者限定ユーザー会を実施
✓ サポートに問い合わせがくるもののうち、他社事例や活用例など答えがYes / Noに
  限らないものは、積極的にオンラインコミュニティへ誘導

KGI / KPIツリー

来年に向けてKGI / KPIツリーを作成し、市場別やセクション別で、全体のGross Revenue Churn Rateに繋がるフォーメーションを組んでいきたいと考え、取り組んでいます。

本イベントのアーカイブ動画は、ポータルサイトからチェック!

本イベントのアーカイブ動画はCS KOMMONSのコミュニティメンバーに限定公開をしています。

イベントレポートを読んで、より具体的な話を登壇者から聞きたい方や、イベントに参加したけれども振り返りをしたい方は、アーカイブ動画をご覧ください。

すでにコミュニティに入っている方は、コミュニティポータルサイトのイベント一覧からアーカイブ動画をご覧いただけます。

まだコミュニティに入っていない方は、以下からCS KOMMONSにご参加ください!

カスタマーサクセスの事業貢献度可視化とCX全体設計に課題をお持ちならKOMMONS

株式会社KOMMONSでは「働くを、傍楽に」というVisionの元、事業を進めている会社です。国内最大級のカスタマーサクセスコミュニティを基盤に、カスタマーサクセス特化型のキャリア支援事業、カスタマーサクセス設計支援事業の2つを提供しています。

急速に拡大しつつあるカスタマーサクセス市場において、即戦力の人材を採用するのは非常に困難です。弊社では、オンラインコミュニティに登録する約700名のカスタマーサクセス人材の中で、経験者や潜在能力のある未経験者を紹介できます。また、カスタマーサクセス組織の事業貢献度可視化とCX全体設計に課題がある企業様に向けて、経験豊富なプロフェッショナル人材による設計支援から提案可能です。人材を採用する前のプロセスから寄り添うことで、カスタマーサクセス組織の成長に伴走し、必要に応じて適切なスキルセットの人材を副業・業務委託・転職といったさまざまな形で紹介することができます。