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【イベントレポート】#CS寺子屋Vol.10「SaaSプロフェッショナルサービス徹底討論」

SaaS企業において話題になることも多い【プロフェッショナルサービスの設計】について、カスタマーサクセス(以下、CS)の立場から約3年に渡って推進してこられた、弁護士ドットコム株式会社(クラウドサイン事業)中嶋 太志さんにお話を伺いました。

通常支援との差別化品質管理をどうするべきかを知りたい方や、プロフェッショナルサービス(有償サービス)があるべき立ち位置など具体事例を知りたい方は、ぜひご覧ください。

登壇者プロフィール

中嶋 太志(Nakajima Taishi)

弁護士ドットコム株式会社

クラウドサイン事業本部 エンタープライズサクセズグループ グループマネージャー 

エンタープライズ企業に対して「クラウドサイン®️」の導入や定着を支援する部門の責任者として、CS活動に従事。自部門では多様な業界のクライアントに対する業務変革プロジェクトの推進支援を管掌しつつ、CS部のナレッジマネジメント活動やイネーブルメントプログラムの企画・管理なども担う。対外的には、日本国内のデジタル化の進展、および、CSに関する知見の蓄積・発展に寄与することを目的に、CSに関する情報発信やイベント企画などの活動を行っている。


クラウドサインの®️概要と支援体制

はじめに、プロフェッショナルサービスの取り組みをお聞きいただく前提情報として、クラウドサイン®️のサービス概要や支援体制についてご説明いたします。

クラウドサインは、契約締結から契約書管理まで可能なクラウド型の電子契約サービスです。売上の構成としては、「固定売上」と契約書の送信数による「従量売上」の他に「スポット売上」があります。この「スポット売上」の中に本日お話するプロフェッショナルサービス(コンサルティングサービス)が含まれます。スポット売上はあくまでもサブ的な位置付けではあるものの、年々売上を伸ばしてきています。

また、クラウドサイン®️は業界を問わずご利用いただいており、あらゆる企業規模のお客様にもご利用いただいております。

その中で、コンサルティングサービスをご利用いただくのはエンタープライズ企業が比較的多いですが、従業員100名に満たない規模のお客様も含めて広くご利用いただいています。

お客様企業内でクラウドサイン®️の導入や浸透に向けて旗振り役となっていただく方のことを、「推進部門」と呼んでいます。

クラウドサイン®️はリーガルテック分野に位置付けられることから、推進部門が法務というケースが大半だと思われがちです。しかし、実際に推進部門が法務となるケースは全体の3割程で、総務や経理、DX、経営企画など、お客様の組織体制や導入経緯によって様々なケースがあります。

一方で、仮に「推進部門」がDX部門であったケースにおいても、「管理部門」の立場で、例えば契約の締結や管理に関わる社内ルールの検討は法務や総務の方に、セキュリティ面での方針策定にあたっては情報システムの方に、お力添えいただく形になります。そのため、私たちとしても幅広い部門の方々と直接会話をしながら、プロジェクト推進のご支援をさせていただいています。

また、私たちのサービスは「推進部門」と、日常的にご利用いただく「利用部門」が別部門となるケースが多いです。さらに、契約締結というサービスの特性上、お客様社内だけで完結せずその先の取引先様もステークホルダーに含まれます。すなわち、私たちが直接接点を持ちにくい利用部門の方々に対して、利用部門の方々から取引先様にクラウドサイン®️が利用できるように調整をお願いするというハードルもあるため、こういった点がCSとしての難しさの一つでもあり面白さでもあります。

では、その中でどのようにお客様の体験をつくっているか?というと、私たちのチームでは下図の通り大きく2種類で整理しています。CSが関与する「当社主体の体験」「顧客主体の体験」です。

「当社主体の体験」は一般的なものだと思うので、「顧客主体の体験」について補足します。推進部門が社内で導入に関する稟議を上げていただくための社内調整や報告、自社における運用ルール策定、利用部門向けの説明など、クラウドサイン®️を効果的にご活用いただくために欠かせない局面が多く、特に重要な顧客体験だと考えています。「顧客主体の体験」こそが顧客成果を左右するという前提で、私たちはサービス設計を進めています。

さて、今回はプロフェッショナルサービスがテーマですので、上記の図の中でも【サービス体験】に絞ってご説明をさせていただきます。クラウドサイン®️では月額料金とは別で費用をいただくオプションサービスとして、一定期間にわたってプロジェクト推進の支援をする「コンサルティングサービス」というものを提供しており、ここがプロフェッショナルサービスに該当します。

サービスの種類としては、電子契約の検討段階における社内調査や投資対効果の算出などを支援する「課題アセスメント&プランニングコンサルティング」や、クラウドサイン®️の導入に関わるプロジェクト推進を支援する「導入支援コンサルティング」、全社的な浸透や定着を支援する「定着支援コンサルティング」など、お客様の企画〜検討〜導入〜活用までを網羅した様々なコンサルティングサービスをご用意しています。

本日は、ご利用される企業様が特に多い「導入支援コンサルティング」を中心にお話しながら、質疑応答の中で必要に応じて他のサービスについてもご説明させていただきます。

プロフェッショナルサービスの取り組み事例

実際にプロフェッショナルサービスで取り組んできたこととしては、「既存サービスの価値向上」「新規サービスの開発」と、それに伴う「専任チームの立ち上げ、管理体制・プロセス構築」です。

これらの取り組みの結果として、従来の単価の6倍以上の価格でご発注していただけたり、コンサルティングサービスの利用有無でクラウドサイン®️利用率を比較すると数字に倍以上の開きが見られるなどの成果を生むことができたと考えています。

また、一般的にプロフェッショナルサービスは「専門性を通じて顧客に価値提供をする」という性質上、サービス提供を担う人材のスキル要件が高くなりがちで例えばコンサルティングファームの出身者がアサインされるケースも多いようですが、私たちはコンサルティングファーム出身者ではない新入社員でも入社から3ヶ月で戦力化して一定の顧客満足を獲得できる体制を構築できています。

では、私たちがお客様にどのような価値を提供していて、それを組織的に実現するためにどのような仕組み・体制を構築しているか、その概要をご説明します。

まず、「導入支援コンサルティングサービス」を題材に、サービスの「提供価値」からご説明いたします。

導入支援コンサルティングでは、お客様が自分たちだけだと導入がうまくできないという課題に対して、私たちが電子契約の専門家として「スケジュール作成」「運用フロー設計」「利用部門の活用促進に向けた基盤づくり」のご支援をしています。

中身としては、お客様の設計〜計画・実行〜運用までのそれぞれのフェーズでコンテンツ(電子契約フロー図やスケジュール計画表、説明会テンプレート等)を充実させることを大切にしています。仮に、新任メンバーが担当になったとしても、コンテンツがしっかりあることで、お客様に一定のご満足をいただけるベースを担保しています。

お客様に対する支援は、私たちが用意したプロセスをすべて辿ってもらうのではなく、初回のキックオフでお客様の導入目的や状況を伺った上で、スケジュールを立てながら30〜40個ほどあるメニューを組み合わせて活用し、さらに必要に応じて新しいメニューを開発しながら提供していきます。

ただ単に「ルールを決めて社内説明会を開催する」だけでは、クラウドサイン®️の利用浸透は進まないケースが大半です。コンサルティングサービスを活用していただくことで、チェンジマネジメントの理論と他社での成功事例・失敗事例にもとづいたプロジェクト推進が可能になり、クラウドサイン®️の利用率を高めて費用対効果を出していただけるようにご支援しています。

導入目的がどういったものであれ、利用率が高まらないことには効果を実感してもらえないので、利用率を高めるための万全の準備と社内周知のノウハウを提供することで価値を提供しています。もちろん、標準的なCSのサポートでも似たような支援は行っていますが、プロフェッショナルサービスでは、3ヶ月の中で週次〜隔週ぐらいの頻度での打合せ実施と特別コンテンツの提供により関与度を上げてご支援しています。

続いて、お客様への価値提供を組織的に実現するための仕組み・体制として、「品質管理」の取り組みについて主要なものをご紹介します。

本日は時間の都合上、全てを詳しくご紹介できませんが、ご興味をお持ちいただいた内容について質疑応答の中で補足させていただきますね。具体的な工夫についていくつか例を挙げると、人による品質のばらつきが起こらないように育成のプログラムをケイパビリティレベルで細かく設計したり、サービス提供には繁閑差がある前提で閑散期用に顧客支援以外の業務も並行して推進したりしています。
また、価値向上として改善活動も行っており、顧客アンケート結果からの改善や営業段階での提案時の声を踏まえた改善なども行っています。

自社でプロフェッショナルサービスを取り入れる上での質疑応答

※当日は30個以上の質問がありましたが、その中から抜粋した7つをご紹介いたします。質疑応答については、一問一答形式で当日のやり取りを記載しています。

1. 通常のCS支援との差別化をどうしていますか?

総論として、プロフェッショナルサービスをご利用のお客様は、ファストパスのように、期間限定で優先的に支援が受けられる権利をお持ちいただいているようなイメージです。

また、「説明会の開催」「業務フロー作成」「データ分析」などといった支援メニューの提供を約束している点も、通常支援にはない特徴です。

なお、支援体制としても、「通常支援を担うチーム」と「プロフェッショナルサービスの支援を担うチーム」に分かれており、後者の方が 1人あたりの担当顧客数が少なく、 1社1社に向き合って深く支援ができる体制にしています。 

2. ご経験がある中嶋さんの観点で、どんなサービスを扱っているとプロフェッショナルサービスを立ち上げやすいと感じていらっしゃいますか?また、どのようなフェーズに至ったらプロフェッショナルサービスを立ち上げるべきで しょうか?

まず、「こういうカテゴリのプロダクトだとプロフェッショナルサービスの提供はできない」というような、プロダクトのカテゴリによってのNG基準は恐らくないと思います。

その上で立ち上げの難易度は、ターゲット顧客群 (規模、業界/業種、部門等)の価格弾力性や、顧客が成果を実感するまでのプロセスの解明度によって変わると思います。

また、事業フェーズとして以下の条件を満たしていれば、プロフェッショナルサービスの立ち上げを検討して良いのではないかと考えます。

● プロダクトの解約率が許容範囲内におさえられている
● 最低限のカスタマーサポートの体制が構築できている
(プロフェッショナルサービスの担当者が、操作や仕様説明などの簡単なQ&Aに忙殺されてしまう心配がない) 

3. プロフェッショナルサービスを立ち上げる場合に検討するべき事項やフレームワークがあれば知りたいです 

以下の大枠で論点を整理することをオススメしています。

「(1) 企画・設計」 では、どんな顧客の何の課題をどうやって解決するのか、サービスとして自社内のどのような人材が何を支援内容として提供しどのような価格で販売するのか、(2)以降の各論点をどのようなスキーム・体制・オペレーション・計画で実施するのか、等といった論点を詰めていきます。後からアップデートされる前提で仮説に基づき検討を進めます。

「(2) 告知・販売」では、各主幹部門と連携しながらコミュニケーションプランの設計から実行面まで整理します。実行面の具体例としては、例えばプレスリリース文書・告知メール文面・営業資料などのドキュメント作成や販売部門向けの説明会、販売管理との調整などが挙げられます。

「(3) 納品・検収」は、実際のサービス提供から、コンサルティングサービスの売上を計上するところまでの実行プロセスを指します。お客様の個別の文脈やニーズに対応しながら、役務提供を遂行していきます。

「(4) 改善」は、(3)の実行プロセスを経て、(2)の告知・販売で謳っていた価値が実現されたか、(1)の企画・設計段階における当初の仮説の検証結果はどうであったかを確認しながら、課題を整理し改善策の実行に移ります。

「(5) 管理」は、(1) 〜 (4)の各工程の管理として、主には各工程が法律・社内ルール・事業目的等と照らして正しく・適切に・効果的に進められるように、体制やプロセスやフォーマットを整備したり、これを運用したりします。基本的に管理部門の方のお力をお借りしながら進める必要がありますが、例えば納品管理や品質管理はビジネスサイドで特に主体的に設計・運用する必要のある部分だと思います。

4. 有償サービスのメニュー設計はどのようなプロセスと意思決定を経て、決定していかれましたか?

既存サービスの改善と新規サービスの開発で大別されますが、前者は原則グループ内での意思決定、後者はCS 部長や関係部門と調整の上で最終的に経営承認を得る流れになります。

また、中身として新メニューが生まれる入り口は以下3つに大別できます。 

(1) これまで無償で提供していた支援内容の有償化

(2) 未解決の課題に対するソリューション開発

(3) 社会に提起したいアジェンダを補完するサービス開発 

5. 品質管理をどのように行なっていますか?( メンバー育成などの観点を含め

最低限の「価値保証」と、満足・感動や売上を伸ばすための「価値向上」を区別して整理しています。

まず、「価値保証」のためには、価値を毀損し得る要因となるポイントを特定し、それら個別のポイントごとにエラーが起き得ない仕組みを構築しています。

例えば、すごく初歩的な内容だと、連絡の抜け漏れや遅れが起きないよう受信から24時間を超過したらアラートを出す仕組みを構築したり、営業からの引き継ぎで対応漏れや認識齟齬が生じないように、引き継ぎをワークフロー化した上で必須チェック項目を設けたり、などといった小さな対策を数多く積み重ねています。

また、各サービスで必要となる知識やスキルをリストアップした上で新入社員向けのイネーブルメ ントプログラムを構築しており、複数のロープレ試験とOJT研修を合格しないと1人で案件を担当できないようにして います。

そして、「価値向上」のためには、顧客満足度アンケートやサービス提供時のフィードバックに基づき、プロジェクト単位での支援プロセスの振り返りを実施しており、課題を整理した上で改善実施を繰り返しています。

このほかナレッジマネジメントの仕組みづくりや各メンバーの能力開発支援によって価値の底上げを図ったり、事業戦略に基づき市場調査ベースで新規サービスを開発したりしています。

6. プロフェッショナルサービスにおいて、 QCDのどの観点でご指摘やクレームをいただくことが多いでしょうか?また、どのように対処・対策しておられますでしょうか?

その3つで強いて言えば、 Quality面が言及されることがあります。 Costは直接的にはサービスの価格ですが、クレームがあるというよりかは買っていただけないという結果になります。 Deliveryは導入支援であれば「利用開始日」を指すことが多いですが、(遅れないよう最大限に支援しますが)顧客起因で遅れてしまうことが珍しくなく、私たちとしては顧客起因の要因を含めてカバーできるよう努力しており、私たちのサービスについてDelivery面でご指摘をいただくことはあまり多くありません。

Quality面での対策は非常に重要ですが、主な対策は質問5に記載したとおりです。万が一、ご指摘やクレームを頂いてしまったならば、(当然そのお客様へのお詫びなどのフォローは行った上で)そこから事実ベースで振り返りを行い、私たちが改善すべき点を特定し、私たちのサービスをアップデートするようにしています。 

7. プロフェッショナルサービスは、通常のCSMとスキルセットが異なると認識しています。人材確保の難易度は上がると考えていますが、 クラウドサイン®️の場合はどのようなスキルやコンピテンシー、マインド、経験を重視していますか?

何も対策を打たなければプロフェッショナルサービスの人材要件が高くなりすぎてしまうため、これを下げる努力を事業者が行うべきだと考 えています。どこまでいっても最終的に人が重要だと考えていますが、一方でプロセスやコンテンツやオペレーションの磨き込みによって価値を担保することで、「人に依らず価値提供できる範囲や水準」を高めることは可能です。 私たちはコンサル未経験者が大半で、第二新卒のメンバーでも高い顧客満足を獲得できています。 人材要件についての゙詳細解説は控えますが、挙げていただいた要素の中ではスタンスやマインドを重視しています。マインドとして、個人的には、「想像力」「当事者意識」「やり抜く力」「学ぶ力」が大事だと考えています。

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株式会社KOMMONSでは「働くを、傍楽に」というVisionの元、国内最大級のCSコミュニティを基盤に、CS特化型のキャリア支援事業、CS設計支援事業の2つを提供しています。

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