2025.01.23
【イベントレポート】CS寺子屋Vol.19「描くことで何が変わる?事例で学ぶ、理想のCS像の言語化による効果と活用」
- CS設計
皆さんは、「理想のCS像」というのを考えたことはありますでしょうか。事業の成長フェーズや規模に応じて、CS組織が目指すべき姿は日々変化していきます。
そんな中でチーム全員が同じ方向性に向けて進んでいくための1つの方法として理想のCS像の言語化というものがあります。
そこで今回は株式会社ラクス小岡さん、株式会社スカイディスク内野さんの御二方にご登壇いただき、実際にどのように理想のCS像を描き、社内展開されたのか等について、実例を交えてお話をいただきます。
後半のパネルディスカッションでは、どういったフェーズで描くべきのか、そして描いたCS像をどう活用し、どうアップデートしていくのかについても取り上げます。
スピーカー紹介

株式会社スカイディスク
DX事業部 カスタマーサクセスチーム マネージャー
内野 寛太
2015年に株式会社ツナグ・ソリューションズに入社し、法人営業・コンサルタントとして顧客企業の採用支援に従事。その後、営業企画・事業企画職として事業モニタリング、営業活動支援、Webマーケティング活動を担当。2020年に株式会社ベーシックに入社し、BtoBマーケ支援ツール「ferret One」のカスタマーサクセス部門のアカウントサクセスグループに所属。ハイタッチ支援による顧客の課題解決、アップセル提案、マーケティング戦略提案を行う。2021年11月からはマネージャーとして、GRRとアップセル受注金額をKPIとしてチームをマネジメント。2023年8月からは株式会社スカイディスクの「最適ワークス」のカスタマーサクセスチームのマネージャーとして、組織の再構築と顧客支援の方針策定を推進。

株式会社ラクス
楽楽クラウド事業本部
楽楽請求事業統括課
東日本カスタマーサクセス課 課長
小岡 崇
新卒で印刷会社の営業を7年間経験した後、2006年以降はSaaS業界に軸足を置き、プロダクト企画、営業、コンサル、カスタマーサクセスなど、多岐にわたる経験を積む。2020年からはラクスの「楽楽精算」のカスタマーサクセス部門にて管理職として解約抑止とエクスパンションに貢献。2024年10月からは新プロダクト「楽楽請求」の東日本CSマネージャーとして、組織の立ち上げを牽引中。
登壇事例1 スカイディスク株式会社 内野 寛太さん
本日は、以前自社のCSチームで理想のCS像を考えるワークを行ったので、その取り組みの概要についてお話しできればと思います。
前提として、弊社のCSチームは今5名の正社員とアルバイトの方が2名で、CSMだけで構成されており分業にはなっていないフェーズです。かつ構成メンバーのCSや営業の経験はそれほど豊富な状況ではありませんでした。
そのような中で理想のCS像を考えるにあたっては、マネージャの私からいきなりそのまま答えだけおろしても伝わりづらいと考えたのと、1回では理想のCS像を合意し切るのも難しいと考えました。
そのため、まず今回はオフサイトで集まった際に、主に以下の2点を行いました。
- 競合/他社のCSについて各自がリサーチをし、どんなスキル要件や支援が求められているか/重要かを各メンバーが知る
- 1で得た気づきを踏まえて、自社のCSの介在価値について考えてディスカッションする
他社のリサーチをしてみると、各社のCSが「誰にどのような価値を発揮しているのか」を言語化できている企業が多いということがわかります。自社でもまずはこの「CSの介在価値」の言語化にチャレンジをしてもらいました。
自社のCSの介在価値についての議論の仕方として、以下のような3つの問いを元に、Web上のホワイトボードに付箋を貼って書き出していきました。
ポイントとして、価値提供の相手は「対顧客」という広い括りではなく、「目の前の担当者」「決済者」と分けたり、「対社内」についても考えました。
そのあと、個人の考えを2-3人ごとのペアになって整理して発表し合ったのち、以下のように更に考えを進化させるための問いを立てて考えました。
「進化させる」とは、今の価値から制約条件がない前提でより未来の価値を考えるという意味です。
そしてこれも同様に、この後にペアで考えを整理して発表/ディスカッションしました。
以上がオフサイトで行った取り組みの概要です。
まとめると、理想のCSをチーム全体で1回で合意しきるのは中々ギャップがあると考えたため、まずは自分たちの価値を認識して、かつ今現在だけでなく先々の未来まで拡張して考えた時にどういう可能性がありうるんだろうか、ということを考えるまでをこの会のアジェンダとしました。
詳細なアウトプットは社外秘や細かい情報も多く含まれるため今回は共有しませんでしたが、私からはこのようにチームで行った目線合わせの取り組みの概要を事例としてシェアさせていただきました。
登壇事例2 株式会社ラクス 小岡 崇さん
私からは、今現在担当している新規部署のCS立ち上げにおいて行ったワークショップについてお話します。
ワークショップ全体の目的やゴールは以下の通りです。
まずは、相互理解のために個々人の価値観をバリューカードを用いた価値観ワークによって洗い出しました。
次にKOMMONSの合宿などでも扱われていた「CS CANVAS」を用いて、自社サービスやCSの価値について各自考えました。
ポイントとして、内容的に何もないところから考えるのはハードルが高いため、以下のような前提情報を先にこちらから共有した上で考えてもらうようにしました。
具体的には、以下のように半期に一度掲げているビジョンやゴール、戦略の柱としての行動指針、売上目標などを共有しました。
一通りワークや市況感の共有などを行いながら、カスタマーサクセス課としてのゴールやメンバーが具体的に持つ目標も確認した上で進めたことで、各人が自分ごと化して納得しやすい場になったと思います。
ワークショップを通じて得られたこととして、理想のCSを描くことは以下のような意味があると感じました。
個々人が事業や顧客を主体的に理解するためのキッカケになった上、立ち上げフェーズである楽楽請求事業にとっては今後の振り返りをする上での起点となったと実感しています。
パネルディスカッション
最後にパネルディスカッションとして、3つの問いに対して登壇者それぞれの意見を伺いました。
小岡さん:理想のCSを考えるためには、まずは前提として事業の現状理解がとても大事です。そこの目線合わせができたことが、とてもメリットがあったと感じています。
内野さん:目線合わせが大事だというのはとても共感で、それができると日頃のマネージャからのフィードバックも場当たり的にならず本質的で納得感のあるものになりやすいと考えます。
あとは多くのSaaSは競合もいる中で、「自社は何にこだわるのか」を言語化する機会になることもメリットだと感じています。
小岡さん:一番時間を割いたところでもありますが、組織のゴールは非常に高いことを理解してもらうこと、そして現状のプロダクトや顧客、自身の強みを明確にしていくことを通してAs is – To beでしっかりと発揮する価値を言語化していくことが大事だと考えます。
そういった言語化ができていれば、日頃のクライアントワークでの向き合い方やマインドセットにも十分に活きてくると思います。
内野さん:自社サービスの提供価値や顧客特徴、事業戦略などを踏まえて考えました。一方でそういった抽象的なポイントだけだと腹落ち感がなかったりもするので、実際のお客様から評価いただいたポイントも重視しました。また、自社の理想のCS像を体現するという意思が最後は重要だと思います。
小岡さん:各自がCSとしての現在地の振り返りやアップデートに活かせればと思っています。意識して行動を続けつつ、四半期に一度はAs is – To beを振り返ることを、チームとしても継続していきたいです。
内野さん:定期的に定めた理想に対してのギャップを振り返るために使うことがメインだと思っています。また、弊社の場合まだ事業フェーズが浅いこともあり、今後上段の事業戦略自体に変化が起きた際にも、CSの理想像がどう変わるか?を考えるためのツールとして活用していきたいです。
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