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2023.03.01

CS駆け込み寺 Vol.3〜CSがSaaS事業のハブになる!サクセス事例の蓄積・社内共有〜

顧客と直接接するカスタマーサクセスは、日々の折衝の中で各個人にサクセスの知見が溜まっていきます。ただし、それをカスタマーサクセス内のナレッジとしたり、セールス・マーケティングでも利用できる事例に昇華するのに苦労しているというお悩みもよくお聞きします。

工数を最小化したり、通常業務の中に溶け込ませて継続できる仕組みにしていくにはどのような取り組みが有効なのでしょうか。

そこで今回はFaciloの高瀬さんとChatworkの大河内さんをお招きしました。サクセス事例の蓄積方法から予算取りのコツまで、明日から取り組める内容が詰まったリアルな声は必見です!


スピーカー紹介

株式会社ベーシック

ferret One事業部 カスタマーサクセス部

アカウントサクセスグループ マネージャー

内野寛太

人材系企業で営業職・企画職を経験したのち、 2020年12月に株式会社ベーシック入社。 入社以降、一貫してハイタッチ組織であるアカウントサクセスを務める。 2021年11月から同グループのマネージャーを担当。

株式会社Facilo

カスタマーサクセス部門

マネージャー

高瀬 陽平

不動産SaaSのいい生活、ヘルステックのメドピア、デスクレスSaaSのカミナシを経て、 2022年12月に不動産売買仲介業向けSaaSを提供する株式会社Faciloに参画。同社のCS組織立ち上げを担当。

Chatworkストレージテクノロジーズ

パートナーセールス部

大河内 唱平

国産Saas企業3社で10年以上カスタマーサクセスに従事

営業部門のすべてを経験・組織構築・営業管理システム構築が得意


本会開催のきっかけ

内野:今日はサクセス事例の蓄積や社内共有について、高瀬さんと大河内さんにお話を聞きつつ、他のみなさんからも質問を受けながら議論を進めたいと思っています。

 もともと僕がこのテーマで悩んでいることをきっかけに本日の場を開催することになりました。過去に何回もサクセス事例を蓄積するチャレンジをしているんですけど、なかなか続きません。継続するには結構パワーがかかりますし、チームでルーティンを醸成するところまでたどり着けていません。ただ、お客様に他社の事例をご質問いただいたり、自社のセールスメンバーが商談の場面で話すときは、事例があると喋りやすいんだなということを改めて感じていて、事例を蓄積して事業部全体の力になりたいと思っています。

 そういった背景ですので、今日伺うお話を参考にしながら今後自社でどう取り組むかも決めたいなと思い、楽しみにしております。よろしくお願いいたします。

 早速ですが、簡単にサービスとカスタマーサクセスの体制の説明をしていただいて、今日のテーマであるサクセス事例の蓄積や社内共有をどのようにしていたのかをお話いただければと思います。それ以降はみなさんから出てくる質問に応じながら深堀できればと思いますので、まず高瀬さんからよろしくお願いします。

カミナシの取り組み

一粒で三度おいしい活用事例集を作る

高瀬:元カミナシ、現Faciloの高瀬と申します。ご紹介いただいた事例はカミナシのときの事例なので、そのときの記憶を元にお伝えします。カミナシのバリューの一つに全開オープンというものがありますので、所属は忘れて伝えられることを全部伝えていこうと思っています。

 カミナシは、DXが進んでいない業界向けに記録帳票をデジタル化するSaaSを提供している会社です。非常にホリゾンタルで深く掘る必要があるところもあり、食品工場、飲食、ホテルなどそれぞれの業界に対するユースケース集を顧客にわかりやすい形で伝えていくということが重要でした。それを目指すためにノウハウの蓄積をしたいというところから取り組みがスタートしました。それがnoteの記事の内容になります。

内野:noteの取り組みの部分、概要をお話いただけますか。

高瀬:いわゆるヘルプページの延長線上にある使い方ガイドみたいなものです。カスタマーサクセスの各担当の頭の中に蓄積され、メールベースで顧客に紹介していましたが、再現性がないというところが取り組みのスタートでした。要はカスタマーサクセスのサービスレベルの標準化と、顧客起点でセルフオンボーディングに繋げる為にスタートしたという話が書いてあります。

 各業界ごとに帳票があり、法令や業界の規制に基づくと、こういうことやらなきゃいけないから、それをデータ化するとこうなりますよと整理をしたものがアウトプットになります。

 1つ目の効果として、カスタマーサクセス目線では、多くのお客様から「活用範囲拡大の役に立ちそう」というポジティブな反応をいただきました。

 2つ目の効果として営業がさまざまな業務・業界の顧客開拓をしてきて、こんな使われ方があるんだっていう再発見になりました。

 3つ目の効果として、実際のプロダクトの中にも業界ごとの雛形を組み込めたのもありました。基本的にデータベース的なものになるので、どんどん事例を追加し、見やすく発展させてきたというのが、この活用事例という取り組みになります。

内野:note内の画像を拝見すると、Notionで活用事例ページを作っていらっしゃっるんですかね?

高瀬:Notionで作った記事をウェブサイトにできるツールを使っていたんですけど、最終的には他のツールを使ってヘルプページを作りました。最初は社内用ページからスタートしたんですが、それを社外用に転用できるのと、社内ドキュメントが基本Notionであり、親和性が高かったのが採用理由です。

持続できる仕組みをつくる

白塚:カスタマーサクセスの本業をやりながらだと、事例を集める動きが続かないケースが多いのかなと思うんですけど、そこはいかがでしたか?

高瀬:確かに最初は苦労したんですけど、称賛と根性が重要でした。

 やると決めたからには推進者が頑張るのと、発見・発明をひたすら褒めることでモチベーションを保つ。カミナシには文化祭前夜みたいなカルチャーがあるので、それがハマったという理由もあります。

 根性というところも仕組み化していました。毎月だと続かないので、2チーム体制で偶数月はこのチーム、奇数月はこのチームと順番交代にしてました。最終的には1ヶ月に3時間ぐらいで作れるようになってました。人数が増えてきたら3チーム、4チームぐらいにしてクォーターで一回りでもいいと思います。

内野:称賛、波及のさせ方もポイントかなと思います。

高瀬:半分はノリで半分は戦略みたいなところがありました。

 ノリはいわゆるカルチャーです。「何かいいことをやったらみんなに発表しようぜ、褒めようぜ」みたいなのがありました。

 戦略は、1〜2ヶ月に1回期限までに仕上げる取り組みがあったので、チームに分けたらその次にチームリーダーを決めて、そのチームリーダーが頑張る仕組みです。桃と拍手のスタンプを組み合わせてお尻たたきスタンプと呼んで、ゲーム感覚で使っていました。

白塚:カミナシさんのカルチャーが伝わってきます。

Chatworkの取り組み

お客さんに登壇してもらう

内野:続いて大河内さんにもお話伺えればと思います。

大河内:お願いします。内野さんに質問なのですが、課題はKPIに記事を書くみたいな目標を持ってる人が誰もいないことですか?

内野:そうですね、ferret Oneでは、カスタマーマーケティングやOpsのような部門がありません。CSMがコンテンツやイベントも両立する形でやってきましたが、あくまで主軸はハイタッチなので、評価に直結するKPIはハイタッチに関するものが多く、コンテンツに関わるKPIは持ってないですね。

大河内:当時は既存顧客が30万社のところからカスタマーサクセスを3人で立ち上げました。社内からするとコストセンターと認識されていたので、最初のKPIはとにかく売上でした。

 売上の拡大余地はないものの、かなり使ってるお客さんに対して「もう提案することないので登壇してください。」と依頼し、事例を作りました。自由に喋ってくださいと依頼したら、活用の話を全くしないこともありました。「社内のビジネスチャットに対する期待値コントロールが導入で一番重要です」という話をすることもありました。こちらから依頼すると、このネタは出てこなかったと思います。

 カスタマーサクセスは事例を伝播する役割だと割り切れてたのがうまくいった要因かと思います。

コンテンツ作成を外注化する

大河内:フォーマットがバラバラだとかよりも、伝わることが重要です。最初は5点でも作ることが重要で、100点を取る必要はないと思います。

 今子会社に出向しているんですが、コンテンツが何もありませんでした。そのため、予算を月10万円取り、外注の資料作成の人を雇い、トップ営業マンと毎週1時間のミーティングを行いました。トップ営業マンがその場で喋り、外注の人がコンテンツを作り事例化していくという流れです。

内野:お客さん自体をコンテンツ化するというところがすごいですね。内容をコントロールしないことに対するリスクを気にする会社も多いと思うんですけど、トラブルや懸念はありましたか?

大河内:優良顧客は好き勝手話してもらっても、結論としては絶対に悪口は言いません。Slack(競合他社ツール)のいいところも喋りますが、今現状Chatworkが全社導入されてるので、最終的にはいいことを言う確信があります。そのため多少の愚痴はOKかなと思います。逆に、コントロールすると生の声を伝えられないので、生きた事例にはなりません。

 10万円くらいの予算が使えるんだったらアウトソースした方がいいと思います。

白塚:アウトソースするのもいいですね。

大河内:会社的にも採用するよりリスクが小さいです。

 転用の仕方としては、トップカスタマーサクセスの人に対して同じこともできます。さらに、その場に新人のカスタマーサクセスの人を同席させて質問させることで、その人のインプットにもコンテンツのクオリティアップになるように、複数のことが同時に叶えられます。

 なので、新人がカスタマーサクセスに来たときには必ず業界ごとのメモを作ってもらっていました。理解度もわかりますし、それ自体がコンテンツにもなります。

まず最初に取り組むべきことは

高瀬:社内事情やリソースの影響で、まずは明日から何をやるべきかを決めることが大変だと思うんですけど、まずやるべきところはありますか。

大河内:KPIに紐づかない場合は、必要性が出てきたらやるで良いと思います。今日の話を聞いてイメージはついたと思うので、頭の片隅に残しておき、合致したときにやる。

白塚:高瀬さんはいかがですか。

高瀬:僕は部門長を握りにいきました。「日々の活動の中で困ってることないですか?」と聞かれたので、「お客さんに同じ質問を何回もされて、同じことを答えるのはもったいないです。」みたいな話をしました。かつ「本来はセールスからカスタマーサクセスまで一貫した話をするべきだ。」という話をしました。

コンテンツ作成に予算取りは必須

月10万円の外注予算を獲得する

大河内:手数が増えるので、予算だけでも取ったほうがいいと思います。資料作成はページ1枚1万円とか、導入事例ページも5万円とかで作ってくれる人がたくさんいます。

 予算策定の時期は100万円規模の議論が中心なので、月10万円が半年で60万円の予算は削られにくいです。一般的にも、10万円以下であればマネージャー決裁の会社が多いと思いますので、「テスト的にやりたいです」と伝えます。

白塚:予算が取れずに新しいことができないケースはありますか。

大河内:あります。12月決算だと今の時期(10月)は取りやすいですが、1月からは厳しくなります。毎年10月になると10万円ずつ積んでくださいってマネージャーに話しています。部署課題としてコンテンツ作成が重要ってなっていれば、予算か人員のどちらかは確保していただけるので、人員が難しいのであれば、予算をくださいって調整をするといいかもしれませんね。

白塚:何に10万円を使ったのかみたいな会をやりたいです。

大河内:月10万の予算があれば、いろいろなことができます。正社員の追加とかではなく、まずは外注を使ってみることや、いろいろなSaaSもありますので、それを試してみることからスタートがいいかもしれません。

高瀬:この会のタイトルは「予算取り」ですね(笑)。

慣れていない業務には時間をかけすぎない

大河内:カミナシでの事例は内製でしたか?

高瀬:ヘルプページの延長線でやっていたものは内製です。

一方でウェビナーをやり、それをアーカイブ化するプロジェクトがありましたが、そのときは外注をしていました。

最初内製をして大変だったので、VPを通して予算を取りました。すごいスピードで仕上げてくれたので、フリーランスの方はすごい&大変だと思いながら協力していただきました。

白塚:コンテンツの予算をとるべきですよみたいな議論は、絶対必要な話かもしれないですね。

高瀬:そうですね、慣れてない人がやることによる無駄を体感しました。コンテンツは素晴らしいので、それを磨くためにお金をくださいというのは簡単に通る気がしますね。

内野:なるほど、品質面の足りなさを同時に感じてもらうテクニックが大事ですね。全体で考えると、変に時間をかけて頑張りすぎアピールにならない方がいいですね。

まとめ

高瀬:今日でモヤモヤは晴れましたか?

内野:はい、まずは来週中には自分のお客様のサクセス事例を1つアウトプットし、雑なものでもメンバーや上司に見せることをネクストアクションにしようと決めました。

大河内:アドバイスとしては、お客さんに「社内の説明用に作った資料を送ってください」と毎回依頼していました。「どうやってこれ稟議通したんすか?」などと聞きながら、資料を買い取らせてくださいとも言ってました。売上計上などが面倒になるので勢いでくれることが多いです(笑)。

内野:いろいろなテクニックがありますね。

白塚:ぜひ内野さんの今後の動きもぜひコミュニティにご報告をお願いします。楽しみにしております。

後日談…

内野:この対談があった翌週に、サクセス事例を1件アウトプットしました。皆さんの後押しを受けて、宣言どおりに頑張ることができました(笑)。

セールスやマーケ部門からも好評の声と、もっとこういう情報がほしいというリクエストももらえたので、手応えを感じています。その後、チーム内でも追加作成する動きもあり、事例を作ることが広がりつつあると思っています。

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