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【イベントレポート】BizDev駆け込み...

2026.9.30

【イベントレポート】BizDev駆け込み寺|新規事業開発におけるAI活用

    駆け込み寺とは

    コミュニティユーザーから寄せられたお悩みについて、相談して知見を得る・相談にのりながら自身も気づきを得ながら、テーマについて情報交換をしながら知見を深めていく座談会形式のイベントです。

    今回の主な課題

    1. 顧客向けAI活用の壁

      個人ではAIを活用できている一方、顧客向けサービスへの実装では、回答精度やエラーへの懸念から活用を進めづらい。

    2. 少人数での新規事業開発

      限られた人数で仮説検証から資料作成まで担う中、AIを新規事業開発のプロセスにどう組み込むか模索している。

    3. AI活用を進める組織環境

      現場と社内でAIへの理解や温度感に差があり、新規事業で活用するためのルールや環境整備が追いついていない。


    0. オープニング:新規事業でAIを「どこまで使っていいのか?」

    【司会】
    本日は「新規事業開発におけるAI活用」をテーマに、実際に新規事業を立ち上げている皆さんで情報交換していきます。まず、現在どのようにAIを活用していて、どんな課題を感じているか教えてください。

    【相談者】
    現在、新規事業の実証実験を行いながら事業化に向けた準備を進めています。少人数で進めていることもあり、フライヤーや公式LINEの訴求文を作るなど、AIはかなり活用してきました。

    一方で、AIを顧客向けサービスに組み込もうとすると難しさを感じています。

    食に関する事業なので、「今日の夕食にもう一品追加するとしたら?」とAIが提案する食育コンテンツも考えたのですが、社内から「エラーが出たらどうするのか」「間違った情報を出したらどうするのか」という懸念が出て、実施には至りませんでした。

    他社ではどこまでAIを使っているのか、また新規事業の中でもっと活用できる部分があるのかを知りたいです。


    1. AI活用の壁:「完成品」を作る前に、顧客価値と実現可能性を検証する

    【アドバイザー】
    顧客向けにAIを使う場合は、段階を分けて考えるのがいいと思います。最初から自分たちで作ったものを顧客に提供しようとすると、回答精度やエラー対応など、一気にハードルが上がります。

    まず確認すべきなのは、「技術的に実現できそうか」と「顧客が本当に価値を感じるか」です。

    最初はすべてをシステム化しなくても構いません。場合によっては裏側を人が対応しながら、ターゲットユーザーに試してもらい、「これがあったら便利」「使いたい」という反応が得られるかを確認する。

    価値が確認できた段階で、予算を確保して外部ベンダーと本格的に開発する、という順番がいいと思います。

    弊社でも、設備保守・運用のノウハウを蓄積してAIで活用するサービスなどを顧客に提供していますが、本格的な実装では外部ベンダーとも連携しています。

    【相談者】
    最初から顧客に出せる完成形を作るのではなく、自分たちでできる範囲で検証して、価値が見えたところから本格開発するということですね。

    【アドバイザー】
    そうですね。また、「AIで何ができるか」から考えるより、まず何を実現したいのかを考えることも重要です。

    たとえば食事提案なら、AI自体よりも「今日の天気」「最近何を食べたか」「どんな食材を買ったか」など、良い提案をするために必要な情報をどう取得するかの方が難しいかもしれません。

    AIを使うこと自体ではなく、AIをどう活かせば顧客に価値を届けられるかまで考える必要があります。

    📌 顧客向けAI活用で押さえたいポイント

    1. 実現可能性を確認する: 既存の生成AIなどを使い、まず簡易的に試す
    2. 顧客価値を検証する: 完成品を作る前に、ターゲットユーザーが本当に価値を感じるか確かめる
    3. 価値が見えたら本格実装する: 必要な精度や安全性を整理し、外部ベンダーも活用して開発する


    2. 少人数の新規事業こそ、AIで「試行錯誤の回数」を増やす

    【相談者】
    顧客向けサービス以外では、新規事業の中でどのようにAIを使っていますか?

    【アドバイザー】
    我々のチームは今3人なので、かなり使っています。「AIがお友達」というくらい、壁打ちから分析までAIとやっています。

    特に大きいのが仮説検証です。

    我々は2週間単位で仮説検証を回していて、イシューを特定して仮説にブレイクダウンし、顧客インタビューを行います。

    今はインタビューの録音をAIに読み込ませて、「どの仮説がどこまで検証できたか」まで分析させています。

    少人数だと、資料作成や情報整理に時間を使っていると肝心の検証が進みません。新規事業ではトライアンドエラーが必要なので、AIで作業を減らすというより、1回の検証を速くして、試行錯誤できる回数を増やすことが重要だと思います。

    【相談者】
    AIを事業そのものだけではなく、仮説検証の過程にも入れているんですね。

    【アドバイザー】
    そうですね。企画の壁打ちにもかなり使っています。

    さらに弊社では、新規事業のステージゲートや進め方について蓄積している指示書・ノウハウをAIに読み込ませて、壁打ち用のAIも作っています。

    「今この状態なら次に何をすべきか」「このフェーズではどこまで検証すべきか」と聞くと、自社の事業開発の型を踏まえて回答してくれる。

    以前は私自身が社内の新規事業担当者への伴走支援をしていましたが、「自分よりいい回答をしているのでは」と思うくらいの内容が返ってくることもあります。

    【相談者】
    そこまでできると、少人数でもかなり進めやすくなりそうですね。

    【アドバイザー】
    もう一つ重要なのが、検証結果を個人のものにしないことです。

    顧客インタビューを複数行うと、「結局何が言えるのか」を整理するだけでも大変ですし、人によって解釈も変わります。AIなら複数のインタビューを横断して分析したり、自分たちが見落としているポイントを探したりできます。

    ミーティングも同じです。AIで議事録を作って終わりではなく、過去の会議や顧客インタビュー、検証結果を蓄積し、「今このプロジェクトはどういう状態なのか」を常に更新できるようにする。

    そうすれば、メンバー間の情報量や解釈の差を減らし、過去の検証も次に活かせます。

    📌 新規事業プロセスでのAI活用例

    ・仮説構築・壁打ち: イシューを整理し、検証すべき仮説へ落とし込む
    ・顧客インタビュー分析: 複数のインタビューから共通課題や仮説の検証状況を整理する
    ・MVP・モック作成: 本格開発前の簡易モックを作り、検証開始を早める
    ・ナレッジ蓄積: 会議・インタビュー・検証結果をつなぎ、プロジェクトの現在地を更新する
    ・自社専用の壁打ち: 自社の事業開発ノウハウをAIに参照させ、次のアクションを考える


    3. AI活用を進めるには「会社として使える環境」も必要

    【相談者】
    弊社では、AI活用自体がまだこれからという部分もあります。

    現場では「AIでできそう」と思っても、周囲から「そんなものを作れるの?」「顧客に使って大丈夫なの?」という反応が出ることもあります。

    本業が人を中心とした労働集約型のビジネスということもあり、AIをどこまで取り入れるかはまだ模索している段階です。

    【アドバイザー】
    そこは会社全体がAI活用に前向きかどうかも大きいと思います。

    弊社の場合は、会社として「AIを使って一人でできることを増やす」というメッセージがかなり強く出ています。

    社内向けAIに加えて、申請すればChatGPTのEnterprise版やCopilotなども利用できます。Copilotで過去のPowerPointやOneDrive、OneNoteの情報を探したり、Excelの分析をしたりと、複数のAIを用途に応じて使っています。

    【相談者】
    会社としてそこまで方向性が明確だと、現場でも使いやすそうですね。

    【アドバイザー】
    新規事業は特にスピードが重要なので、全社での導入が難しければ、まず新規事業部門だけでも必要なツールを使える環境を作るのは一つの方法だと思います。

    AIを使うことで資料作成を少し早くするだけではなく、仮説検証を速くして、そこで得た学びを組織に蓄積する。その状態まで持っていけると、新規事業でAIを使う意味はかなり大きくなると思います。


    課題解決のヒント:新規事業にAIを取り入れる「3つの突破口」

    1. 顧客向けAIは、完成品を作る前に価値を検証する

    簡易プロトタイプや人による代替オペレーションを使い、まず「顧客が本当に価値を感じるか」を確認します。価値が見えてから、必要な精度や安全性を整理し、本格開発や外部ベンダー活用へ進みます。

    2. AIを「効率化」ではなく「仮説検証の高速化」に使う

    仮説の壁打ち、顧客インタビュー分析、MVP作成などにAIを組み込みます。単に作業時間を減らすのではなく、同じ期間でより多くの試行錯誤を行える状態を作ります。

    3. 検証結果を蓄積し、個人知から「組織知」へ変える

    インタビューや会議を単発の議事録で終わらせず、過去の検証や意思決定とつながる形で蓄積。自社の事業開発ノウハウもAIに参照させ、次の検証や別のプロジェクトにも活かせる状態を目指します。


    参考:汎用性のある具体的なアクション

    近しい課題をお持ちの方、ぜひご参考ください。

    • 顧客向けAIのスモール検証:
      本格開発の前に、既存AIや簡易モックを使って顧客価値を確認する。

    • 仮説検証へのAI導入:
      顧客インタビューの分析や仮説整理をAIに任せ、検証サイクルを短縮する。

    • 新規事業ナレッジの蓄積:
      会議・インタビュー・検証結果を継続的に蓄積し、AIからプロジェクトの現在地を確認できる状態を作る。

    • 自社専用の壁打ち環境:
      ステージゲートや判断基準、過去の検証結果をAIに参照させ、次に検証すべきことを相談できるようにする。

    • AI利用環境の整備:
      全社導入が難しい場合は新規事業部門から利用を始め、検証スピードや業務効率への効果を示す。


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