
コミュニティユーザーから寄せられたお悩みについて、相談して知見を得る・相談にのりながら自身も気づきを得ながら、テーマについて情報交換をしながら知見を深めていく座談会形式のイベントです。
1. ハイブリッド人材の不在(高すぎる採用要件と年収のミスマッチ)
事業推進と技術開発の両立ができる人材は極めて稀であり、提示条件や年収レンジに対して求める要件が高すぎるためターゲット層が見つからない。2. 組織カルチャーのギャップ(社内ルールとスピード感の解離)
母体組織が持つレガシーな業務プロセスや社内調整ルールが、スタートアップ的なスピード感や意思決定の障害になっている。3. 代替手段の判断基準の欠如(業務委託・育成・外部活用の混迷)
正社員の採用が難航した際に、どのような業務を業務委託や育成、外部活用に切り替えて補うべきかの判断軸が整っていない。
【司会】
本日は「大手企業の新規事業でいかにスタートアップマインドを持つ人材を採用・育成するか」をテーマに、現場担当者とゲストによる座談会をお届けします。まず、現在直面している採用やリソースの課題感について教えてください。
【相談者】
弊社の新規事業開発部では現在4つの事業が走っており、直近でベトナムのオフショア開発事業を立ち上げています。しかし、日本と現地の開発チームを繋ぐ「ブリッジPM」や「ブリッジエンジニア」のリソースが不足しており、案件依頼があっても受けきれない状態が続いています。
【参加者】
私のチームでもまさに同じで、新規事業の検討が進みテーマ数が増える中で、限られた人数のため常に「リソース不足」という共通の悩みに直面しています。
【相談者】
特に弊社のオフショア開発は、今年M&Aしたベトナムの会社と一緒に進めており、単なる「仕様書通りの開発」ではなく「お客様と一緒に0→1で事業を立ち上げる」案件が多いのが特徴です。そのため、単に進行管理ができるだけでなく「ビジネス(事業推進)も一緒に考えられる人材」が必要不可欠なのですが、そうしたスキルを持つ方の採用に苦戦しています。
【相談者】
0→1で自ら考えて周りを巻き込めるような人材を探しているのですが、もう一つの壁があります。弊社は新規事業部自体は柔軟ですが、会社全体としては非常にレガシーな業務プロセスや社内調整ルールが残っています。ベンチャー気質なマインドを持ちつつ、こうした大手の調整文化にも順応できる人となると、見極めが極めて難しくなってしまいます。
【アドバイザー】
非常に共感できる構造問題ですね。ビジネス側とプロダクト(技術)側の両方を完璧に兼ね備え、かつ大手の調整もこなせる人材は市場になかなかいません。いたとしてもCTOやCPOクラスであり、年収2,000万円以上やリファラルでないと獲得できないレイヤーになってしまいます。
【相談者】
やはり一般的な求人媒体や条件設定だけでは、経歴を見ても見極めがつかず、ミスマッチや母集団形成の難しさを感じています。
📌大手企業新規事業部における人材獲得が難しい「よくある原因」
1. 不可能なペルソナ設定:
「ビズ(事業推進)× テック(開発マネジメント)× 大手適応」を1人にすべて求めてしまい、市場に存在しないペルソナになっている。
2. 職種名と募集文面のミスマッチ:
「ブリッジエンジニア」など技術色の強い職種名で募集することで、本当に欲しい「ビジネス推進型人材」の応募を逃している。
3. 評価・年収レンジのギャップ:
スタートアップ等で活躍するミドルマネジメント層に対し、既存の正社員採用枠(年収設定・役職定義)が追いついていない。
【アドバイザー】
1人で全条件を満たす人を探すのではなく、切り口を変えて採用プロセスを組み立てることが突破口になります。ポイントは3つあります。
求める職種名(キーワード)から「エンジニア」「ブリッジ」を外してみる
プロダクト設計自体は既存の優秀なエンジニアに任せ、欲しいのが「ビジネス推進」であれば、あえて「PM(プロダクトマネージャー)」や「PMM(プロダクトマーケティングマネージャー)」という名称で募集します。コンサル出身でプロジェクトを回していた人や、SaaSのカスタマーサクセス(CS)で「次はプロダクト側にキャリアを広げたい」と考えている層にターゲットを広げるのが有効です。
「大手」と「ベンチャー」の両方を知る経験者を狙う
大手の文化に順応できるか不安な場合、1社目が大手企業でその後ベンチャーを経験したような「両方の世界を知っている人」を履歴書で探すのが一番確実です。私自身も大手からベンチャーを経て現職に至りますが、両方を知っていれば調整の大変さも理解しています。また、SaaS業界では現在ミドルマネジメント層の壁を感じている優秀な人材が多く、「安定した事業基盤の上で、裁量を持って新規事業に挑戦できる環境」は非常に魅力的な選択肢として映ります。
立ち上げ期は時間軸を伸ばし、「強い1人目」への投資と捉える
高い要件で優秀な人材を採ろうとすると単年度の予算では高く見えますが、2〜3年の長期軸で捉え直します。最初に強い人材を1人獲得できれば、2〜3年目には業務が標準化され、次からは一般的なレイヤーの人材を採用・育成できるようになります。結果として3年スパンで見れば十分に回収できます。
【相談者】
なるほど!「ブリッジエンジニア」という名称で探していたこと自体が、ビジネス側の人材を遠ざけていたのかもしれません。CS経験者やコンサル出身者へアプローチし、職種名や募集文面を「PMM」や「PM」寄りに打ち直すやり方はすぐに実践できそうです。
近しい課題をお持ちの方、ぜひご参考ください。
募集要項の修正:
「ブリッジエンジニア」から「PM / PMM」などビジネス寄りの職種名へ変更し、コンサル・CS経験者層へターゲットを拡張する。
ターゲットペルソナの再定義:
「大手企業経験 + ベンチャー経験」を経歴を持つ層に着目し、順応性と推進力を兼ね備えたミドル層をピンポイントでスカウトする。
中期的時間軸での投資提案:
立ち上げ期の「強い1人目」の採用コストは単年評価ではなく、2〜3年で回収する事業投資として経営陣・社内へ合意形成を図る。
業務の棚卸しと役割分担の明確化:
1人にすべてを求めず、プロダクト設計は既存のエンジニア、事業推進は新規PMといったチーム単位でのカバー構造を作る。

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