2022.11.14
醤油蔵からReproのCSへ。広く経験して見つけた得意領域で、自分らしいキャリアを切り拓く
インタビュー
長期的な関係構築とサービスの導入・活用支援を通して、顧客の成功に向けて伴走するカスタマーサクセス(以下、CS)。
本シリーズ「カスタマーサクセスと私」では、CSのキャリアをテーマに、現在CSとして活躍する方々のリアルなストーリーを紹介していきます。
今回は、営業・Web広告・家業である醤油蔵というユニークな職務経歴を経て、現在ReproのCSとして働く高橋範行(たかはしのりゆき)さんに話を伺いました。
目次
やりたいことに広く手を伸ばしていたキャリア迷子時代
ーー高橋さんはユニークな経歴をお持ちですよね。学生時代は芸能の世界を志していた…と伺いましたが、どのようにキャリアをスタートされましたか?
学生の頃は、声優養成所に通ったり大学でも演劇サークルに入ったりと、芸能に興味を持った時期もありました。ただ就職活動などを通して、芸能に対するモチベーションが次第に薄れていったんです。それと同時に、「ビジネスの舞台で活躍したい」「稼ぎたいな」という意識を持ち始めましたね。
一方で、これというやりたいことがある訳ではない中で「企業のさまざまな業務を請け負うアウトソーシング企業に入れば、色々なビジネスを知れるかもしれない」と思いました。顧客と接しながら社会経験を積みたかったので、新規開拓の営業としてアウトソーシング会社への入社を決めました。
ーー色々な仕事を広く見てみよう、と思ったんですね。実際に働いてみていかがでしたか?
自分が何に向いているか、を知れたのは大きかったです。3年ほど営業として働く中で、自分には人とコミュニケーションを取る仕事が向いていると思いました。最初はテレアポが中心だったのですが、電話口に話が盛り上がって気に入ってもらえたり、実際に訪問営業する中でも顧客と関係値を築くのが早かったり…ということに気づいたんです。
また同時に、仕事柄色々な企業について調べる機会が多く、決算資料に目を通しつつ会社の状況や課題を見極める中で、社会人としての基礎能力がついた時期だったと感じます。自分が担当する業務も、ITエンジニアリングや、事務、営業など多岐に渡ったので、もちろん視野も広がりましたね。
ーーその後、家業の醤油蔵で働いていたと伺いましたが、それはどういった経緯だったんでしょうか?
アウトソーシング会社を退職し、Web広告企業で1年ほど勤務した後、地元へ戻り家業として営んでいる醤油蔵を手伝うことになりました。
前職で働くかたわら、イベント出店のため地元へ帰って手伝う中で、地域の方から「あんたの醤油じゃないとあかんねん」という声をいただくことがあり、人の温かみや地元から愛されることの嬉しさを感じたんですね。家業の仕事を通じて、地域密着型で人と関わりたいと思ったのがきっかけです。
これまでの経験を活かすため、配達や営業などの人と接する仕事だけでなく、オンラインストアやSNSの運用にも力を入れ始めました。当時は幅広い業務を担っていたんですが、ふと前職の経験も踏まえて考えるうちに、これまでITやマーケティングと接する機会が多く、また楽しめる仕事だなという気づきがありました。
徐々に、ITやマーケティングの仕事に興味が湧いてきた頃ですね。
転職活動中にCSと出会い、この仕事で「キャリアを深めたい」と決意
ーー色々と経験される中で、ご自身に向いていること・好きなことが分かってきたんですね。
一方で、当時家族経営の難しさも感じていて、実は自分のキャリアに悩んでた時期でもあったんです。
転職活動を始めたものの、色々な業務をしていたり家業という小さな会社で働いていたり…と一般的に見て決して箔のあるキャリアではなかったので、始めの頃はあまり上手くいきませんでした。振り返ってみると、カジュアル面談もかなりの数を受けましたね。
ーーCSとの出会いはどういったタイミングで…?
実は、転職活動当初はカスタマーサクセスという仕事を知りませんでした。現職のRepro人事担当者との面談で「CSって知っていますか?」と質問されたのが、CSとの最初の出会いです(笑)
Reproとの面談は、当時利用していた転職サイト(WantedlyやGreeen、Bizreach等)経由でスカウトメールをもらったのがきっかけでした。
元々は営業志望でしたが、人事担当者から「話し方が優しくて素敵ですね。お客様と上手くコミュニケーションが取れそうです」と言われたので、自分の経験に加え、人当たりの良さからCSに向いていると見出してもらえたのかもしれません。
ーーReproでCSになろうと思った決め手は何でしたか?
自分のキャリアを振り返ると、その時その時で自分がやりたいことをやってきたことが多く、何か1つのことを深めた経験がありませんでした。何のプロフェッショナルでもないことに気づいたんです。
これを機にキャリアを再スタートさせようと考えた時に、本当に価値があることを積み上げて、専門性を身につけたいと思いました。
その点、CSは世の中からも求められており、自分の経験ともシナジーがありました。そしてReproはCS業界の中でも組織構築など先進的に取り組んでいると聞いていたので、CSにフォーカスしてキャリアを積み上げるのであれば、ここがベストだと思い転職を決意しました。
CSを突き詰める中で初の挫折とブレイクスルーを経験
ーーReproでは現在、どういった仕事を担当されていますか?
Reproは、マーケティングツールとプロフェッショナルサービスによりWeb、アプリの収益最大化を支援しています。私はその中でもアプリマーケティングツールのカスタマーサクセスとして、約80社の導入支援をしています。
具体的には、仕様・使い方・活用方法などの日々の問い合わせ対応や、定期的なミーティングにてKPIの状況を伺い、KPI達成のための施策・取り組みを提案しています。
ーー未経験からCSへのキャリアチェンジ、大変だったことはありますか?
入社後の数ヶ月は、正直に言うと大変すぎて打ちひしがれそうでした…。CSは、顧客対応に必要な基礎スキルに加えて、扱うプロダクト毎の機能理解や業界特有の専門知識を身につけることが求められると思います。
個社毎に最適な提案をするために事例の引き出しを作っていくには、かなり時間が必要でしたし、周囲からフィードバックをもらう度に「まだまだだ…」と感じることも多く、辛かったですね。入社当時はアプリマーケティング領域を深く理解していなかったので、「なんで自分はこんなにできないんだろう」とネガティブに考えてしまう時もありました。
今振り返って考えると、これは誰もが経験する壁だと思います。だからこそ、入社初期にいかに必要な知識をキャッチアップできるかがとても大事ですね。
また知識のキャッチアップの難しさに加え、入社する際はマネージャー候補という形だったので、周囲からの期待値とのギャップにも苦しみました。
ーー当時は精神的にも辛かったと思いますが、どうやってその状態から抜け出せたのでしょうか?
一度、自分自身を見つめ直す時間を作れたことは大きかったです。色々と思い悩んでいた当時は、誰かに打ち明けることも難しかったんですが、その時に手を差し伸べてくれたのがマネージャーでした。彼に相談する中で、外部コーチングという手段を提案してもらいました。
コーチングを通して初めて自分と向き合う時間を持ち、「今後自分はどういう人生を歩んでいきたいのか?」「その上でどんなキャリアを目指したいのか?」「キャリアにおいて大事にしていることは何か?」といった問いを自分の心に問いかけていったんです。
当時の自分にとって一番辛かったのは、漠然としたモヤモヤ感を抱えていたことだったんですが、自分と向き合う中でそのモヤモヤがくっきりと形になっていったんです。それから、徐々に悩まなくていいこと・解決できることを切り分けて思考を整理できるようになり、気持ちも上向きになっていきました。
正直なところ、Reproに入社するまでは仕事で挫折した経験がありませんでした。何かを乗り越えるため自分と向き合う…という機会がそもそも無かったからこそ、この経験を経て、自分を見つめ直す時間を作ることの重要さに気づくことができました。
また個人的には、やりたいことをやっていたからこそ壁に直面することも無かった自分のキャリア人生に、物足りなさを感じていた部分もあったんです。
ReproでCSとして一つのことをとことん突き詰める中で、挫折し、壁を乗り越える経験ができたのは良かったと感じましたね。
ーー自分を見つめ直す時間を通して、高橋さんの中でブレない軸を持つことができたんですね。壁を乗り越えた今、どんな状況ですか?
今は仕事がすごく楽しいです!以前に比べると、お客様からの質問へパッと回答したり、課題を解決したりすることができるようになって、お客様が「ありがとう!」と喜んでくれる場面が増えました。
またCSとしての経験値が上がったことで、自分の知識の引き出しも増え、お客様に提案した施策が刺さり採用してもらう、実行してもらう機会も多くなりました。
もちろんできることが増えたからこそ大変なこともありますが、直近の半年〜1年は特にモチベーションを保ちながら働けていると感じますね。
得意領域で自らがロールモデルに、モチベーションはライフゴールの実現
ーー最後に、高橋さんが理想とする人生やキャリアプランがあれば教えてください。
まず、将来の人生における理想は、一軒家と愛する家族を持って田舎で暮らすことですね。その理想を実現するための重要な要素は、まずお金を稼げること、そして場所を選ばず働けることだと思っています。
CS自体の給与水準もこれから上がっていくとは思いますが、自分自身のCSとしての価値を上げるために、さまざまな経験を積んでいくつもりです。まずは今の顧客対応を通してハイタッチスキルを身に付けつつ、今後はロータッチ・テックタッチやコミュニティ領域にも関わっていきたいので、社内でも手を上げてトライしている最中です。
今後CSのキャリアを深める中で、自分の市場価値を高めるために、組織作りに関わるスキルも身につけていきたいです。将来的にはマネージャーとして、組織課題の改善やKPI設計などを経験し、組織をどう動かしていくか考えていけるのが理想なので、今も社内の組織改善に携わっているところです。
Reproで、顧客対応周りやマネジメントを幅広く経験した先のネクストキャリアとしては、CSの立ち上げにチャレンジしたいと考えています。立ち上げを経験しCSに一通り精通した状態になれば、キャリアの選択肢の幅も広がりますし、給与面のポテンシャルも期待できると思っています。
そして、今後CSがより場所を選ばず働けるようになると最高ですね。
ーー「今後こうなりたい」といったロールモデルはいますか?
今は、特にロールモデルがいる訳ではないです。
というのも、マネージャーや他のメンバーは何かしらの専門性を持っていたり、尖ったスキルや能力があったり…..と個として強いメンバーが多く、自分とは違う良さを持っているんですね。そういう意味では、相対的に見た時に自分は個としての力が弱いと感じるので、不安になったり悩んだりすることもあります。
今のマネージャーのようにはなれないと思う一方で、自分がReproで経験したことを振り返った時に、組織課題の解決をやっている時がすごい楽しいしやりがいを感じたんですね。
個のスキルを磨いていくよりも、メンバーマネジメントや働きやすい環境、組織作りの領域で自分の力を発揮できそうと気づいてからは、自分なりのキャリアを作っていきたいと思うようになりました。
マネージャーの仕事を大きく2つに分けると、「KPIなどの組織目標を達成させること」と「メンバーの働きやすさや生産性を担保すること」があると思います。今後は後者を得意領域にして、タレントマネジメントを通してメンバーに能力を発揮してもらう組織作りを実現したいです。
個が弱くてもマネージャーになれることを自分の背中で示したいですし、ゆくゆくはタレントマネジメントや組織改善のスペシャリストになれたら嬉しいですね。
自分自身もこれからのキャリアがとても楽しみですし、自分が新しいロールモデルになっていきたいと思っています!
ーー私たちも高橋さんの未来が楽しみです!貴重なお話をありがとうございました。
コミュニティでカスタマーサクセスの横の繋がりを作りませんか?
弊社が運営する国内最大級のCSコミュニティ「CS KOMMONS」では、1,000名以上のカスタマーサクセスに関わる方々と交流し、自社の課題やお悩みを相談することが可能です。
本インタビュー記事を読んで、より具体的な話を登壇者から聞きたい方や、カスタマーサクセス業界の方々との繋がりを作りたいと感じた方は、ぜひコミュニティにご参加ください。
インタビュイープロフィール
高橋 範行(たかはしのりゆき)さん
Repro株式会社 Customer Success Division App CS Team 所属
2016年に大学卒業後、アウトソーシング会社・WEB広告代理店において新規営業に従事。その後、家業の醤油屋において営業とマーケティング全般を担い、2020年にReproにカスタマーサクセスのメンバーとして参画。ゲームアプリを中心に、業種業界問わずスマホアプリのグロースに向けたハイタッチ支援を行っている。
この記事を書いた人
奥村 葵
株式会社SmartHR のカスタマーサクセスマネージャー。自身もCSとして働く中で、様々なバックグラウンドを持つCS経験者のキャリアに興味を持ち、株式会社KOMMONSにてインタビュー記事の制作に携わる。