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2022.10.06

カスタマーサクセス職の魅力とは?実際に転職した人の本音を聞いてみた

カスタマーサクセス職として働いているお二方に、実際に働いてみての感想・やりがい、さらには必要なスキルなど、本音ベースで話をお聞きしました。

本記事は日本最大級のベンチャーキャピタルであるJAFCOと、KOMMONS共同で2022年9月7日に開催したキャリアアップアカデミーのウェビナーの内容から抜粋しているものです。

スピーカー紹介

サイボウズ株式会社 カスタマーサクセス部
kintone カスタマーサクセスチーム CSリーダー
大脇 一起 Owaki Ikki

大脇:サイボウズ株式会社のカスタマーサクセス部で kintone というプロダクトのカスタマーサクセスチームに在籍しています。2014年に新卒で、地元の北海道電力という業種も職種も違うところで営業職からスタートしました。北海道電力は歴史のある企業だったので、現場の業務フローがアナログの部分も多かったです。そこで担当業務のかたわらエクセルなどを勉強して業務改善をしていく中で、業務改善というもの自体にすごく大きな可能性を感じ、もっと良いツールを使って、自分のいる現場だけではなくて世の中全体に対して仕事をしていきたいなと思い、2018年にサイボウズに転職をしました。

2018年時点では、弊社にはまだカスタマーサクセスという組織がなかったのですが、最初はカスタマーマーケティングと呼ばれるような領域からスタートしまして、2020年の1月にチーム立ち上げの1人目のメンバーとしてカスタマーサクセスの取り組みを開始しました。

現在は kintone のサクセスチームが20数名いて、そこでリーダーをしています。また、アメリカや中国で kintone の事業拠点を立ち上げているのですが、現地のカスタマーサクセスチームに対して後方支援などを行っております。

株式会社SmartHR
カスタマーサクセスマネージャー
奥村 葵 Okumura Aoi

奥村: 現在、株式会社SmartHRのカスタマーサクセスとして人事労務サービスの導入サポートを行なっています。 新卒では、従業員数約2000名規模のシステムインテグレーターで開発職として入社しました。大学時代の専攻は文系だったため、転職のタイミングではITに関する知識・経験は完全にゼロの状態でしたね。

その会社のメインビジネスは受託開発だったのですが、私自身はサービス作りというところに興味がありました。会議の生産性向上をサポートするSaaSの開発部署への配属を希望し、フロントサイドのエンジニアとしてキャリアをスタートしました。

業務をやっていく中でカスタマーサクセスに興味を持ち、その後、SmartHRにカスタマーサクセスとして2021年の1月に入社をしております。

入社して以来カスタマーサクセスマネージャーとして、主に数十名から数千名規模の企業のオンボーディング・利活用促進を担当させていただいています。顧客対応以外にも、ユーザーコミュニティの企画運営や、機能の活用度を図る指標を検討するプロジェクトに携わっています。

カスタマーサクセスに挑戦したきっかけ・理由は?

大脇:カスタマーサクセスを知ったのは、実は転職した次の月でした。たまたま本屋でカスタマーサクセスの本を見つけて、「自分のやりたいことはこれだ」と思ったのが一番のきっかけです。

面白いなと思った一番の理由は、「顧客の成功を突き詰めて行くことが、結果的に自社の成功に繋がる」というビジネスモデルが、サブスクリプションの登場によって新しく生まれてきたところです。スタートが自社ではなくて、顧客というところが自分の思考とも合うなと。転職したときの想いをすごくピュアな形で実現できるんじゃないかなと思ったんです。

2018年頃って社外でも勉強会やコミュニティが盛り上がり始めた時期で、社内ではまだカスタマーサクセスの話ができる人が少なかったので、社外のセミナーに出席して理解を深めていきました。なので、転職してから1年半ぐらいは準備期間でしたね。いよいよ社内でカスタマーサクセスを立ち上げるとなったときに執行役員の方から「本気でやってみないか」と声をかけてもらい、本格的に動き出したという流れです。

奥村:私もカスタマーサクセスを最初から知っていたというわけではなくて、仕事をする中で出会ったという形になります。

先ほどもお話したように、前職はSaaSの開発部署のエンジニアとして働いていたのですが、立ち上げ初期のフェーズでなんでもトライできる環境でした。最初は開発業務をやってたのですが、顧客視点で開発していきたいなと思ったときに、実際にお客様とコミュニケーションを取らないとわからないことが多く、少しずつビジネスサイドの仕事に移行しました。

様々な業務に関わる中で、カスタマーサクセスに一番やりがいを感じました。カスタマーサクセスは、単に導入をサポートするだけでなく、顧客のニーズを把握し要望として社内に共有する役割も持っています。

顧客の声を聞き、かつプロダクトの改善サイクルに関わり価値あるものを一緒に作っていける。その点が、開発のバックグラウンドを持つ身としてはしっくりきた部分でした。

挑戦して良かったこと・大変だったこと

大脇:良かったこととしては、世の中的に新しいジャンルで、答えがまだないところで立ち上げができたところです。自分も顧客対応を行い、他部署と調整しながら、PMMと目標数値を考えたり、採用面接に入ったりと、全方位的に経験できたっていうのがすごく良かったなと思っています。かっちり出来上がってる組織だと難しい部分もあると思うので、いい経験でした。

カスタマーサクセス職は、プロダクトが顧客に価値を届けられている瞬間と、逆に何か障壁が生まれている瞬間を目の前で見ることができるポジションです。特に自社のプロダクトが好きな方にとっては、プロダクトの価値が顧客に届いて喜んでもらえる現場を生で見れたり、プロダクトをアップデートするためのヒントも拾えることがカスタマーサクセスの楽しいところかなと思ってます。

大変だったことは、カスタマーサクセスには一般的なゴールが無いことですね。既存顧客なので、考えようによってはその10年後を見据えることできたり、どこをゴールにするかを自分たちで決めないといけないです。成果を測るとなっても、どの数字で測るかに一般的な正解があるわけではないので、自分たちで考えながら仮説検証を繰り返していく必要があります。

奥村:0→1を沢山経験できるのは、カスタマーサクセスの良いところなのかなと思います。カスタマーサクセスの職種自体が新しいことから、ロールモデルや先行事例が少ないので、模索しながら進めていくことも多いんですね。自分たちが事例を作っていく思いで、仕事に取り組める楽しさがあります。

また、顧客の成功を純粋に一緒に喜べるところも魅力ですね。カスタマーサクセスは受注した後、いかにお客様に使ってもらうかに重点を置いてるので、お客様の中で変化があった、少しでも進捗できたというようなご連絡で、自分自身もすごく喜べます。時にはビジネスの関係性を超えてお客様と喜びを共有できるのは良い点だと思います。

他には、顧客の成功が自分のモチベーションになるだけではなくて、自分の評価にも繋がるというのは良い点ですね。やりたいことをやって評価してもらえるっていうのは、すごく理想ですし、精神面ですごくヘルシーに働けると感じています。

逆に大変だったことは、前職では自分が今まで顧客対応の経験がほぼなかったというのもあり、顧客対応全般に慣れるまで時間がかかったことでした。また、カスタマーサクセスが未開拓の分野というところがあるので、変化が早い中で、順応していくのは大変だなと日々感じています。ただ一方で変化が好きで楽しめるなら、その点はこの仕事の醍醐味でもあるのかなと思いますね。

カスタマーサクセス職に向いている人はどんな人?

大脇:答えがないところを作っていく作業は、面白いと感じる人としんどいって感じる人に分かれると思うんですけど、おもしろがれる人がいいのかなと。

何か考えることと悩むことの違いみたいなイメージです。立ち止まってしまうんではなくて、1個1個考えて進んでいくっていうことができる方が向いてるのかなと感じます。

もう一つは、目の前のお客様と向き合えるのでどうしてもミクロな視点になりやすいんですが、それをマクロな視点に抽象化できる人です。例えば自社で1万人ユーザーがいるとしたら、目の前の1人に向き合いながらも、そこから何を持ち帰って1万人に還元しようか考える力が必要です。また、ユーザーは時間と共に増え続けていくので常に中長期かつ広い視点を持ち続けることが求められます。

奥村:私も同じく、ミクロとマクロの視点からお話できればと思います。

目の前のお客様に対応するときは、そのお客様をいかに把握し、適切な提案ができるかを求められます。ですが、カスタマーサクセスは1人で複数顧客を担当するので1社に割く時間は限られますし、個社毎に機能をカスタマイズできる訳ではないので全ての要望を受け入れることはできません。そのため、より俯瞰的に、全体最適の視点で見ることも必要です。ここが難しく、私も修行中ではあります(笑)

また、ケースバイケースですが、実際にお客様が導入してから一定の効果を感じてもらえるまでの道のりって長かったりするんですよね。なのでその成功や関係構築のための過程を楽しめるのは重要な部分かなと思います。

カスタマーサクセス職に一番必要だと思うスキルとは?

大脇:すごく難しい質問ですけど、何か一つだけということであればやっぱり「考える力」だと思います。常にミクロ⇔マクロを往復して考えながらプレーできる力が求められるのかなという感じがしてますね。

奥村:やっぱりヒアリング力ですね。顧客対応というと自分から話したり提案するイメージを持たれるかもしれませんが、その提案をするためにはその倍の時間をかけてお客様のことを知り、理解できているかが鍵になります。いかにお客様の状況を聞き出せるかとか、潜在的な課題を見つけ出せるかという意味で、ヒアリング力は欠かせないスキルかなと思います。

ありがとうございました!

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