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カスタマーサクセスマネージャーが社内で育つ、カスタマーサクセスイネーブルメントの始め方 Vol.2 「kintone」のカスタマーサクセスイネーブルメント

カスタマーサクセスの現場では、顧客の業務や導入目的に合わせたさまざまな顧客対応のスキルが求められます。対応する人によって、提案や回答の魅力度や品質に差が出てしまい、顧客の不満が発生することもよく耳にする話です。また、新しくカスタマーサクセスを始める人にとっては「求められるスキルが多く、何から始めれば良いのかわからない」「自身のレベルがどの程度なのか把握できない」というお悩みもよくお聞きします。

この様な課題への対応策として注目を集めているのが「カスタマーサクセスイネーブルメント」です。

※イネーブルメントとは、ビジネスで成果を出す社員を輩出する人材育成の仕組みです。

そこで今回は、サイボウズ株式会社 カスタマーサクセス部 副部長大脇さんをお招きいたしました。kintoneのカスタマーサクセスイネーブルメントにおいて重要な「カスタマーサクセス = 中身(ミクロ) × 仕組(マクロ)」の実現に奔走するカスタマーサクセス部の取り組みについてお話いただきます。


スピーカー紹介

サイボウズ株式会社 カスタマーサクセス部 副部長 兼 事業戦略室

大脇 一起

2014年に新卒で電力会社に入社し、担当業務の傍ら現場の業務改善に携わる。2018年5月にサイボウズへ転職。ダイレクトマーケティング部に配属され、ファンづくり施策や導入支援などを担当。

2020年1月からは新設されたカスタマーサクセス部の立ち上げメンバーとなり、現在は「kintone」のカスタマーサクセスチームでリーダーを担当。海外拠点のカスタマーサクセスチームへ後方支援も行っている。


まず、サービスの紹介をさせてください。kintoneは、従来の業務システムと違い、プログラム知識がなくても、もともと用意されている「フィールド」というパーツを組み立てて、誰でも直感的に業務アプリを作成できるサイボウズ株式会社の提供するツールです。

理想とするイネーブルメントの「型」

最高の顧客体験やカスタマーサクセス文化をデザインするには、イネーブルメントは非常に重要です。一般的なカスタマーサクセスの概念に、自社独自の解釈と哲学を織り交ぜて、それを組織の力でアウトプットすることで顧客体験をデザインしていく。その営みの中核に、私たちカスタマーサクセス部がいると感じています。

弊社のイネーブルメントの根底にある考えは「カスタマーサクセス = 中身(ミクロ) × 仕組(マクロ)」です。

どれだけ優れた仕組み、例えばCTA(Call To Action)やヘルススコアで「100点」のものを作成したとしても、中身が「0点」であれば、お客様に届けられる価値は「100 × 0 = 0点」になってしまいます。一方で、中身が良ければ、仕組みが未整備であっても、価値はでてくる。そのため、中身と仕組みの両輪を回していくことが重要です

私たちは、独自に定義した「カスタマーサクセススキル評価シート」によって、メンバーのスキル水準を担保し、そこにメンバーの個性を掛け合わせることで顧客対応に深みを与えています。

スキルの評価は「守破離(しゅはり) ※」の手順を正しく進められる設計にしています。

※守破離とは、日本の茶道や剣道における修行のプロセスを表す言葉で、昨今はビジネスにおいても重要なプロセスとして認識されてきています。最初は指導者の教えを守ることで基本を習得します(守)。次に、基本の型に自分独自の要素を加えて発展させていく(破)。最後は指導者の型から離れてオリジナルの型を確立する(離)。この一連の流れを守破離と呼びます。

「型」を作ることで陥りがちな罠は「型があることで思考停止する」ことですが、「型」があることで思考が回り、議論が生まれる。最後は自分で考えて行動するようになり、個性が「型」に掛け合わさっていく。そういった組織設計が重要だと考え、日々行動しています。

ここからは、kintoneにおけるカスタマーサクセスの組織や取り組みについて紹介いたします。

kintoneのカスタマーサクセス部と、立ち上げからの道のり

私たちの組織は、それぞれの職能に応じた本部組織の中にさまざまな部署が配置されるデザインです。例えば、営業本部や開発本部といった本部組織があるのですが、その中に「カスタマー本部」という既存顧客のサポートをする本部があります。

私が所属するカスタマーサクセス部は、「カスタマー本部」の中で2020年1月に部門が立ち上がり、活動を開始しました。

2020年1月から立ち上げをスタートして、4月に3名が新規採用でジョインしてくれました。そこからOJTがスタートしたのですが、色々と未整備な中で、組織の立ち上げや他部署との調整と並行してOJTを進めるのは中々大変なところもありました。

そういった試行錯誤を繰り返す中で、1年後の2021年4月にはなんとか無事3名全員の1人立ちを行うことができました。ですが、「このままでは組織をスケールできない」という課題感を強く感じており、スケーラビリティのある組織づくり(イネーブルメント)の探求をそこから始めていくことになります。

3年目となる現在は、カスタマーサクセス部の人数は約40名に増えていて、社歴・年齢ともに若いメンバーが多くいる状況です。経営指標との相関関係の分析をしながら、数値目標を追って、結果を出す「勝負の年」として駆け抜けています。

私たちのユニークな取り組みとして、それぞれのメンバーが複数のチームに所属する「サブチーム体制」を取り入れています。現在は以下の8チームです。

1. ハイタッチ
2. オンボーディング
3. アダプション
4. イベントフォロー
5. テックタッチ
6. Ops
7. Hub(採用&育成)
8. CX

それぞれ1人が2〜3チーム兼務をして活動しているのですが、その中でも、「採用/育成に特化した『Hubチーム(Human Baseの略)』」の取り組みを紹介いたします。

採用/育成に特化した「Hubチーム」

組織づくりの探求を進めるなかで、イネーブルメントをやりたいと言ってくれたメンバーと一緒に「採用/育成に特化した『Hubチーム(Human Baseの略)』」を設立しました。

スキルレベルをLevel.1~3に定義

まず最初にスキルレベルを検討しています。「営業チームから引き継いだ大型案件」や「日々、開始される中小規模案件」といったさまざまな案件を経験する中で、カスタマーサクセスのスキルは、必ずしも1つのレイヤーではないという実感があり、そこからスキルレベルを3段階で定義しました。

カスタマーサクセススキルを「サポート × 営業 × コンサル」に分解

新しく入ってきたメンバーに、カスタマーサクセスのスキルを理解しやすくするために「サポートスキル × 営業スキル × コンサルスキル」という3つのスキルの掛け合わせとして定義しています。

定義することで、サポート出身のメンバーには「サポートスキルが強みとして活きているけど、追加で営業スキルも必要ですよ」といった会話ができるようになりました。

Level.1の「カスタマーサクセススキル評価シート」を作成

Level.1のメンバーが1人立ちするまでの期間を短縮するために「カスタマーサクセススキル評価シート」を作成しています。日々の実践経験や探求から言語化したものを「Hubチーム」に壁打ちさせてもらい、標準化することで完成させました。

「カスタマーサクセススキル評価シート」の概要と利用方法

私たちが利用しているカスタマーサクセススキル評価シートは、スキルの大項目を「コミュニケーションスキル」「活用支援スキル」「コンサルティングスキル」の3つに分類しています。それぞれの大項目の中には、より詳細な中項目のスキルを定義しました。

各項目に定性的な定義を設定し、「×、△、〇、◎」の4段階評価と合格基準を設定しています。例えば、Level.1のときは「『分かりやすく伝える力』は〇以上であればいいよ」「『会話力』は◎でなければいけないよ」という基準をそれぞれ設定しました。

メンバーは、案件対応やロールプレイングをおこなった際に、都度、CSスキル評価シートで評価を登録しています。弊社では、kintoneに「CSスキル評価シート」の業務アプリを作成し、評価内容を社内に公開しており、1年半で500回分という多数の評価が記録されています。

全項目の合格基準を安定してクリアできるようになると「合格判定会」を開催します。2人以上の評価で判断し、合格することで、そのレベルの業務が1人で行えるようになります。

この活動を属人的に行うのではなく、イネーブルメントという形で組織全体に浸透させることで品質を向上させていきました。その結果として、メンバーの成長に繋がり、顧客やメンバーからのポジティブな声が多く届けられています。

「カスタマーサクセススキル評価シート」を作ってみてよかったこと

共通言語ができたことで、N:Nでイネーブルメントが可能になった!
・トレーニー&トレーナーのコミュニケーションコストが下がり、納得感UP
・「スケジューリング力が難しくて…」「わかる~!」という共感に繋がる会話が生まれた!
自社ならではの「CS=CX+CO」を組織的に探求する文化醸成に繋がった
・先輩の過去のカスタマーサクセススキル評価シートを見てホッとしたり、共感したりできる
・カスタマーサクセススキル評価シートに紐づけて研修コンテンツを企画できる!
ひとり立ちまでの期間が4ヶ月短縮!

イネーブルメントの成果~チームに届いた顧客からの声~

・本当に助かりました。近場ならビールをご馳走したい
・ここまで質が高い支援は経験がない
打ち合わせが楽しい。追加料金を払いたい
・kintoneのおかげで社内評価が上がりました!
毎回ワクワクした楽しい時間でした
・事業のあり方を変えていただいた1時間でした
自身の成長を実感した時間でした
・Tさんのアドバイスのおかげで、当初の4倍まで利用者を増やせました

本イベント内容についてより深く知りたい方はコミュニティにご参加ください!

本イベントのアーカイブ動画はCS KOMMONSのコミュニティメンバーに限定公開をしています。
イベントレポートを読んで、より具体的な話を登壇者から聞きたい方や、イベントに参加したけれども振り返りをしたい方は、ぜひコミュニティにご参加ください。すでにコミュニティに入っている方は、コミュニティポータルサイトのイベント一覧からアーカイブ動画をご覧いただけます。

カスタマーサクセスで副業案件に挑戦するならKOMMONS

株式会社KOMMONSは「働くを、傍楽(ハタラク)に」というVisionの元、国内最大級のカスタマーサクセスコミュニティを基盤に、カスタマーサクセス特化型の業務委託人材のマッチング・コンサル支援サービスを提供しています。

急速に拡大しつつあるカスタマーサクセス市場において、即戦力の人材を採用するのは非常に困難です。弊社では、オンラインコミュニティに登録する1,000名以上のカスタマーサクセス人材に向けて、カスタマーサクセスの副業案件を紹介しています。

また、カスタマーサクセスの副業案件に興味をお持ちの方に向けて、経験豊富なKOMMONS担当者による1on1のお悩み相談や採用面談フォロー、副業案件着手後のフォローも可能です。副業先との採用面談をする前のプロセスから寄り添うことで、カスタマーサクセス人材の成長に伴走し、必要に応じて適切なスキルセットの案件を副業・業務委託・転職といったさまざまな形で紹介することができます。カスタマーサクセスの副業にご興味がある方もぜひこちらからコミュニティにご参加ください