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2025.03.01

[イベントレポート_事例登壇セッション編]SUCCESS CAMP 2025 -挑もう。-

本記事は、2025年1月25日(土)東京・六本木で開催したCS KOMMONSとして2回目となる大型オフラインイベント 「SUCCESS CAMP 2025 〜挑もう。〜」にて、メインステージで行われた事例登壇セッションをまとめたイベントレポートです。

当日メインステージでは、11人の登壇者による5つの事例登壇セッションが行なわれました!

当日参加できなかった方やもう一度メインステージの内容を振り返りたい方に向けて、ダイジェスト版としてお届けいたします。ぜひ、ご覧ください!!

なお、イベントの全容がわかるイベントレポートはこちら


1. 解約阻止の3ステップ 〜What・How・Do〜

トップバッターはラクスの小岡 崇さん、ATOMica/KOMMONSカンパニーCOOの大竹 健斗さん。

そしてファシリテーターはTAIAN高橋 範行さんが担当。

CSの皆さんが常日頃奮闘している解約阻止をどうやって効果的に進めていけば良いか、解約理由の整理と解約防止ステップについて詳しく教えていただきました。

SaaS企業におけるメインの解約理由としてどういったものがあるのかを「活用を妨げる6つの不在」として以下のようにカテゴライズ。

実際に6つのどの不在に当てはまるのかを特定し、改善していくための流れとしてWhat、How、Doの流れで進めることが多いと、ラクスさんの事例も交えながら教えていただきました。

具体的には7つのフェーズがある中で以下3つにカテゴライズ。

  1. What(セグメント別解約理由の確認〜解約理由の特定)
  2. How(改善のための打ち手検討) 
  3. Do(工数算出とデリバリー〜実行&改善モニタリング)

また、解約阻止はCS施策だけに止まらず、営業とのリソースバランス調整や、積極的なプロモーション活動、ブランド戦略など、横断的に取り組むべきテーマだということも教えていただきました。


2. 生産性向上を実現するデータ活用の進め方

2つ目のセッションではマネーフォワードの今井 裕美さん、コミューンの城田 貢己さん。

ファシリテーターはマネーフォワードの坂本 奈月さんが担当。

先ずは、立ち上げ期のCS組織が抱えるよくある課題をお話しいただきました。

  • 収益拡大ためのフローが未整備
  • 非連続的な成長への適応が遅れる
  • CS組織の提供価値が不明瞭

その上で、CSの生産性を向上させる上で鍵となるCall to Action(以降CTA)についての全体の流れ(課題把握→フローの言語化→トリガー設定→データ整備→ミニマム展開→運用チェック→チューニング)と各フェーズごとの詳細を共有いただきました。

先ずCS組織としてどの課題を優先して解決したいのかを明確にする必要があり、

アプローチの方法としては以下2パターンあるとのこと。

  • KGI・KPIと現状のギャップ把握

CSで達成すべきKGI・KPI(契約更新率、アップセル率など)を元に、現状とのギャップから課題を特定。

  • カスタマージャーニーWSの実施

現在の支援フローと理想状態を整理し、ギャップを可視化することで課題を抽出。

そこから支援フローをタスクベースに整理し、CTAを設計していくとのお話でした。

城田さん曰く

「設計後はちゃんと運用とチューニングを繰り返していくことが大事」

とのこと。

その方法についての詳細もご説明。

最後に、

「今日せっかく来たからには学んで満足するのではなく、ちゃんと実践するところまでやってください。」

と、会場の空気をさらに活気づけていただき、今井さんへとバトンタッチ。

今井さんからは、実際にマネーフォワードで実践した具体事例を共有いただきました。

当時は誰もCTAについて教えてくれる人もおらず、生成AIもない時代だったため、1つ1つ調べながら手探りで進行。

その結果、3つの成果を出せたとのことでした。

CTA設計・運用の成功例として皆さんも頷いておりました。


3. カスタマーサクセスが貢献すべき 新規ARRのつくりかた

続いて登壇いただいたのはCAMPFIREの大河内 唱平さんとLeaner Technologiesの織茂 尚之さん。

ファシリテーターはエーアイセキュリティラボ阿部 一真さんが担当。

自己紹介の際にお二方とも一児のパパとの紹介があり、阿部さんから

「ご家庭をどうサクセスしてるのか?」

という大変気になる質問が飛び出し和やかにスタート。

先ずは織茂さんから、売上拡大にはNRR(既存拡張)と新規契約の両輪があり、それに対してCSがどのように貢献していけるのか詳細を教えていただきました。

NRR向上のためのアップセルシナリオは以下4点。

1.アカウント課金

〈具体例〉活用ユーザー拡大によるアップセル / 活用部門拡大によるアップセル

2.アップグレード課金

〈具体例〉上位プランへの移行によるアップセル

3.トライアル→本契約移行課金

〈具体例〉エントリープランからの移行によるアップセル

4.利用量の増加に伴う課金

〈具体例〉プロダクトの利用量と連動したアップセル

Land&Expand(小さく始めて大きく育てる)を軸に、アップセルを通じたNRR成長をリードするのはCSがキーポイントになるとのこと。

そして、そのアップセルとも密接に関わるアウトカムは”最終的なビジネス成果の1つの前のフェーズ”と定義し、縦軸をサクセスレベル、横軸アウトカムの広がりとしてARR創出例をマトリクス化されておりました。

次に、CSリードで貢献可能な社数拡大の進め方についてご紹介。

とにもかくにも顧客事例 is Kingで、それをレバレッジできるかはセールスでの握りとCS次第。

顧客に対しての具体性のある協力依頼とCS伴走によるアウトカム創出がキーポイントで、顧客が成果を出すほど「もっと使いたい」「他部署にも導入したい」という流れが生まれ、CSがこのタイミングを捉えて提案するのが効果的とのことでした。

また、大河内さんからは”CSがマーケリードのセミナーを取りに行くべし”というお話がございました。

「CSであれば売上◯倍になりましたとかこれだけ工数削減できましたという表向きだけで中見がないセミナーにならず、中身のあるものに仕上げる事ができる。

やり方次第でトライアルの時点でオンボーディングを完了させたり契約の数字UPに貢献できるので会社としても大変喜ばしいこと。

ただ、トライアル中だと数字がCSに付かないってなるので、そこは先んじてCSに付くよう調整しておけば良いです。」

とのこと。

ちなみに上記図解はNapkin AIで数分で作ったとのことで会場の皆さんも興味津々でした。


4. 各事業フェーズにおけるCSとプロダクトチームとの関わりかた

続いてはログラスの浅見 祐樹さん、イタンジの原島 宗三さんがご登壇。

ファシリテーターは引き続き阿部さんが担当いたしました。

原島さんからCSで使えるダジャレのアイスブレイクから始まり、会場の疲れた表情も緩和されてのスタート。

各事業フェーズによってCSとプロダクトチームの関わり方が異なるという点から教えていただきました。

具体的に事業フェーズごとの関わり方をそれぞれ一言で表現していたのがとても印象的でした。

(新規)プロダクト立ち上げ期

  • 浅見さん:CSもプロダクトの一部
  • 原島さん:CSも新規開発事業

PSF〜PMF直前期

  • 浅見さん:魂の優先度を伝える
  • 原島さん:属人化

PMF後〜グロース期

  • 浅見さん:”Fairway”を見極める
  • 原島さん:ダブルスの前衛後衛

複層化(マルチ化)期

  • 浅見さん:プロダクトを乳化する
  • 原島さん:死線(デッドライン)を何度もこえてきた

皆さんが注目していたのは、浅見さんがお話していたログラスさんの特徴的なVoCの優先度レベル。

高・中・低 ではなく 魂・骨・肉・皮 で表現しており、

「この機能がないとそもそも運用できなくなってしまう(=死んでしまう)ものは魂、そこまではいかないが自立できずサクセス度が下がってしまうのは骨」といったユニークな定義付けで優先度をつけているとのことです。

また、原島さんも複層化期に「イタンジは一度失敗しました」とMRR/ARR至上主義に切り替わったタイミングで営業とCSをマージしたことでVoCの収集優先度が下がり機能開発の指針が迷子になってしまった失敗談を赤裸々に話していただきました。

事業フェーズによって注力するポイントなどは変わってきますが、

何よりも顧客への価値提供を軸として判断していくべきだと実体験をもとに教えていただきました。


5. CSイネーブルメントの実践事例 〜三者三様の課題と打ち手〜

最後に登壇いただいたのはX Mileの中嶋 太志さん、スカイデスクの内野 寛太さん、サイボウズ大脇 一起さんの三名。

ファシリテーターはジャンヌこと浜田 和美さんが担当いたしました。

昨今よく飛び交う「セールスイネーブルメント」

様々な企業がその用語に対しての定義付けをしておりますが、

CSのスペシャリスト達が考える「CSイネーブルメントとは?」を言語化していただきました。

この取り組みは、人材育成や教育に限らず、広い視野で取り組むべきテーマを設定することが重要です。

その中でも”初手に何をやるか”という点でお三方は一緒の回答でした。

あるべきCS組織の「理想を定義すること」

理想から定義する理由としては、CS組織が目指す姿と現状のギャップを浮かび上がらせるため。

そのギャップを特定し、より深堀りしながら課題設定をしていくことが重要とのお話でした。

また、理想の定義で整理する情報構造についても共有いただきました。

そして後半では実際のお三方の課題と打ち手についての共有。

三者三様の課題、打ち手に皆さんも必死に耳を傾けておりました。


さいごに

本イベント主催であるKOMMONS代表の白塚さんより「今後は日本全国にCSの考え方を広める取り組みをしていきます。その一環として2月26日に広島県世羅町の冬季・夜間観光をより魅力的にするためのアイディアを、みんなで考えるオンラインイベントを開催します!」

との挨拶で会場から拍手が沸き起こりながらメインステージは終了。

今回のイベントは150名以上が参加し、メインステージ以外にもワークショップや懇親会も行なわれました。今後のイベントやCS経験者との交流について興味がありましたら、

ぜひKOMMONSのコミュニティにご参加ください!

▶︎コミュニティ参加はこちらから