2025.01.09
【イベントレポート】CS寺子屋Vol.20. 現状の課題を正しく可視化!CSの業務フロー整理
- CS設計
こんにちは。今回は「カスタマーサクセス(CS)の業務フローをどう整理し、現状の課題を可視化していくか」というテーマで解説します。特にSaaS企業やサブスクサービスを提供している皆さまの中には、こんな課題を持つ方も多いのではないでしょうか?
- 「CSのメンバーが増えてきたけれど、フェーズごとに行うべき施策が整理できていない…」
- 「オンボーディングからアップセル/クロスセル、解約率低減まで、一連の流れを明確にしたい…」
- 「現場でなかなか“抜本的な課題”が見えず、“定例業務”に追われてしまう…」
こうした課題に対して「CSの業務フロー整理」はとても重要なカギになります。本記事では、CS業務を整理するメリットと、フロー構築に取り組む際のポイントや進め方をまとめました。
1. なぜ今、“CS業務フロー整理”が重要なのか?
フェーズによって業務が大きく変わる
カスタマーサクセスは、単なる問い合わせ対応とは違い、顧客の成功(Success)をいかに実現していくかがミッションです。そのため、企業やプロダクトの成長フェーズに応じて 求められる業務やスキルが大きく変化 します。
例えば以下のように、立ち上げ期 → 拡大期 → 効率化/成熟期 と進むにつれて、それぞれで意識すべき目標も変わっていきます。
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このように、各フェーズで 最適な業務フローを設計・見直す ことが求められます。
CS業務の多岐にわたる領域
カスタマーサクセスの業務は、オンボーディングサポート、定期的な顧客アクティブ化、解約リスク予兆検知、契約更新管理、アップセル提案など多岐にわたります。さらに オペレーションの効率化を担う“CS Ops” や、テックタッチ/ロータッチの自動化設計 など、担当範囲が拡大していくこともしばしば。
![](https://kommons.co.jp/wp-content/uploads/2025/01/スクリーンショット-2025-01-09-2.55.09-1024x577.png)
もし、こうした業務が整理されていないと、
- 同じチーム内での作業重複や連携ミスが起きる
- 誰が・いつ・どのように施策を進めるのかが曖昧になる
- 気づかないうちに解約リスク顧客が増える…
といった「もったいない」状況になってしまいます。だからこそ、今のフェーズに合わせたCS業務フローを“正しく可視化”することが極めて大切です。
2. 業務フロー整理に入る前に押さえたい3つの前提
実は、業務フローをきちんと描く以前に 「CSとして何を目指し、誰(どのセグメント)をどうしたいのか?」 を明確にしておく必要があります。具体的には、次の3点を「前提条件」として定義しておくと良いでしょう。
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“誰を何のためにどうしたいのか” が決まらないままにフローを描いても、単なる“現状のマッピング”で終わってしまい、抜本的な課題が出てきにくくなります。
なので、「CS業務フロー」=「理想の顧客体験実現のためのプロセス図」 と考え、前提条件がしっかり固まっているかを最初に確認しましょう。
3. 業務フロー整理の進め方
前提条件を整理した上で、「現状を把握 → 課題洗い出し → 改善施策の優先度付け → 効果検証&振り返り」といったPDCAサイクルを回していきます。
(1) 現状のCS業務フローを整理する
- まず、“オンボーディング → 活用促進 → 追加提案 → 更新” といった顧客のステップ(フェーズ)を縦軸にし、横軸で日数/週数などのタイムラインを引き、実際の業務の流れを洗い出す。
- 誰がいつ何をしているか を、できるだけ具体的に書き込んでいく。(簡易版でもOK)
- その際、「営業からの引き継ぎ→導入キックオフ→定例ミーティング」など、顧客と接点を持つタイミングを中心に描くとわかりやすい。
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(2) 課題の洗い出し
- フローが見えたら、実際の課題や問題点を付箋などで追記 していく。
- 例:
- マスター設定に時間がかかるせいで、オンボーディング期間が長引いている
- キーマン不在の定例ミーティングが続き、導入が進まない
- 解約リスクの高い顧客を早期にスコアリングできていない
- 一緒に“理想の体験”を見比べることで、現状とのギャップ(課題)が具体化される。
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(3) 改善施策をアイデア出し→優先度を付ける
- 課題を把握したら「どうすれば解決できそうか」を、チーム全体でブレストする。
- 改善施策のリストアップ後は、「実施工数」「期待効果」「成功の可能性」 といった指標で評価し、どこから着手するか優先度を決める。
- 例:
- 営業段階で取得する顧客情報を増やし、マスター設定期間を短縮する
- 初回キックオフの場で、キーマンを含む関係者の出席が確定するよう事前説明資料を用意する
- 解約リスクが高い顧客をヘルススコアで可視化し、早期アラートを仕組み化する
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(4) 効果検証&振り返りを行う
- 着手した施策を一定期間(四半期や半年に1回等)実行し、定性・定量指標の両面から結果を評価 する。
- CS業務は成果の出方が長期になることも多いため、すぐに数字に出ないときは定性的な観点(顧客のフィードバック、メンバーの手応えなど)も含めて振り返る。
- 振り返りの場には、オペレーションを担うCSメンバーも参加し、プロジェクトベースで定例会議を行う ケースが多い。
- 必要に応じてフロー図をアップデートし、また次の施策へPDCAを回す。
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4. フロー図を活用するメリット
セミナーでは、具体的な「CSフロー図」のテンプレートもご紹介しました。そこには、オンボーディング/アダプション/エクスパンションの各フェーズごとに
- 必要な業務 のリスト
- 完了条件 (定量的、定性的)
- 分岐の条件 (たとえば導入完了条件を満たしていれば次に進む など)
が整理されています。こうしたテンプレートを使うと、自社に合った形で自在に並べ替えや分岐設計ができる ので、メンバー全員が共通認識を持ちやすい点がポイントです。
また、ハイタッチ/テックタッチなどのタッチモデル や、複数プロダクト対応、顧客セグメント別のフロー など、要件に応じて細分化しておくと、現場で「どこまで対応すべきか」「誰に引き継ぐのか」が一目で分かるようになります。
5. まとめ:CS業務フローを“常にアップデート”していこう
カスタマーサクセスの現場では、導入期から拡大期、効率化期へと進む中で常に業務がアップデートされ続ける のが当たり前です。プロダクト自体の進化や、顧客規模の拡大、チーム人数の増加などに合わせ、絶えずフローを見直していく必要があります。
- 最初に“誰をどうしたいか”を明確にする
- 現状フローを俯瞰し、課題とギャップを洗い出す
- 改善アイデアを優先度付けし、効果検証→振り返りを行う
このPDCAサイクルを定期的に回すことで、解約率の低減 や アップセル/クロスセルの成功率向上 に着実に近づけます。もし「フロー整理や見直しに時間が割けない…」「社内リソースが足りない…」という場合は、CS支援に特化した外部リソースやBPOをうまく活用するのも選択肢の一つです。
CS業務はフェーズの変化に合わせて、最適な組織・プロセスを作り上げていく もの。ぜひ自社の現状を改めて可視化し、次のステップへと進んでみてください!
おわりに
カスタマーサクセスは、単にお客様からの問い合わせを受けるのではなく、「顧客が本当に必要とする価値を届け、利用を定着させ、事業成長につなげる」 という奥深い活動です。そのためには、“現状の把握と業務フローの正しい可視化” こそが出発点。
これを機にぜひ、自社CSの全体像を見直し、チーム全員が納得感をもって動けるプロセスにアップデートしてみてはいかがでしょうか? その先に、きっとLTV向上や解約率改善、アップセル拡大といった成果が見えてくるはずです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!もし何か具体的なご相談やBPOサービスへのお問い合わせがありましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。皆さまのカスタマーサクセス活動が、より充実したものになることを願っています。