コンサルティング
非SaaS
アウトカム設計
営業×CS連携

パーソルキャリア株式会社は、プロ人材の総合活用支援サービス「HiPro」を展開。HiPro Biz・HiPro Tech・HiPro Directの3サービスを提供しています。2025年4月には、複数サービスに分散していたCS機能を「HiPro CX統括部」として統合し、顧客体験の最大化を全社的に推進する体制を構築しました。
しかし、HiProが提供するのはプロ人材×プロジェクト型のサービスです。SaaSのように利用ログで顧客の状態を把握できる世界とは根本的に異なります。受注後の価値実現が見えにくく、次の展開につなげにくい構造の中で、CS業務は体系化されないまま属人的な運用が続いていました。
それでもHiPro事業部は、SaaSの世界で確立されたCSの成功モデルに学び、非SaaS企業としてカスタマーサクセスに挑戦する決断をしました。「守りのCS」にとどまるのではなく、顧客成果を起点にLTVを最大化する「攻めのCS」を志向したのです。

HiPro事業部がまず取り組んだのは、CSの「型」をつくることでした。属人的な運用から脱却し、再現性のある組織へ転換するために、KOMMONSの大竹がCSコンサルとして参画。「顧客起点」を軸にした3層構造のアプローチを採用しました。
カスタマージャーニーマップを起点にフェーズごとの完了定義を策定し、逆算でアクションシートを作成。ハイパフォーマーのマインド・行動指針を形式知化し、モニタリング表で行動指標を定量管理する体制を構築しました。断片的なHOWの積み上げではなく、顧客がたどるべきジャーニーから逆引きする設計に転換したのです。
この業務設計により、推定18ヶ月かかるとされていた新フロー運用開始を6ヶ月で実現。業務設計工数も300時間から80時間へ約75%削減しました。
CS業務の再定義という抽象度の高いテーマに対し、事業理解と解像度の高さを持つパートナーが求められていました。非SaaSのプロジェクト型サービスという特性を深く理解した上で、CS組織全体の設計を支援できる人材が必要だったのです。
KOMMONSの大竹がCSコンサルとして参画し、事業理解の深さと解像度の高い提案で支援を実行。「社内だけで進めていたら少なくとも1年はかかっていた」という評価をいただきました。


Phase 1: 業務設計期(KOMMONS支援)— 「型」をつくる
①施策の壁(戦略の壁)
なにからやるか / なにをやるか / どうやるか
CS業務が体系化されず属人的な運用が続いていました。トークスクリプトやロールプレイなどHOWベースの施策は存在するものの、全体を貫く設計思想がなく、断片的なピースの積み上げ状態でした。
KOMMONSが「顧客起点」を軸にした設計アプローチを提案。カスタマージャーニーマップ起点でフェーズごとの完了定義を策定し、逆算でアクションシートを作成。断片的なHOWの積み上げではなく、顧客がたどるべきジャーニーから逆引きする設計に転換しました。
Phase 2: 実行・深化期(自走)— 「型」を運用し、攻めのCSへ
②実行の壁 — サクセスペーパーと状態把握
設計を運用に落とし込む / 定性情報の言語化 / 顧客の上位目的の把握
業務設計で「型」は整いましたが、それを日々の業務に定着させることが次のチャレンジでした。特にプロジェクト型サービスでは「終わり」があるため、プロジェクト完了後にどう次の展開につなげるかが問われました。
顧客の「状況・目的など」を構造的に把握する「サクセスペーパー」を導入。顧客の目的・状態を網羅的に把握することにより、プロジェクト完了後も能動的な提案を可能にしました。また、ヘルススコアを基にして各プロジェクトの状況把握とコミュニケーション状況を可視化。非SaaSでも成立する「状態把握の物差し」を確立しました。
③価値実感の壁 — 「ならでは案件」の定義
CSと営業の役割分担 / エクスパンションの再定義 / LTV思想への転換
エクスパンションの定義が曖昧で、CSとしてどのような活動を行うべきかが定まっていませんでした。CSならではの付加価値をどう定義し、どう計測するかが最大のテーマでした。
CS独自で創出した案件を「ならでは案件」と定義。プロジェクトの支援に入り、顧客解像度が高いCSだからこそ提案できる案件を明確化しました。「プロジェクトを無理に伸ばす」のではなく、「満足を届けて次をいただく」というLTV思想への転換が、チーム全体の行動を変えていきました。
④成果実感の壁 — CSの事業貢献を証明する
エクスパンション比率70% / CSアワード受賞 / 経営へのインパクト
顧客と当事業にとって、CS活動を通じてどのような価値を創出することが必要かという問いを解くことが求められていました。
「顧客成果を起点にLTVを最大化する」というテーマで事業運営を実施。結果として、CS起点のエクスパンション比率を47%から70%に向上。カスタマーサクセスアワード2026で審査員特別賞を受賞。
CSアワードの審査員特別賞を受賞し、非SaaS業界での攻めのCS施策が外部から評価されたことは大きな一歩でした。一方で、業務設計の「型」が組織全体に十分行き渡っているかというと、まだ道半ばというのが正直な認識です。
CSの事業貢献を証明し、経営層からの投資を引き出し続けるには、CSが独自の価値を生み出していることを示し続ける必要があります。
だからこそ、CS起点の「ならでは案件」を定義し計測する取り組みは、単なるKPI管理ではなく、CSという機能の存在意義を証明するための挑戦でもあるのです。
CSアワードの受賞は大きな一歩でしたが、より大きな成果をより広い範囲で実現するには、ここからが本番です。CS Opsの浸透、テクノロジーの活用 — 次のステージに向けて、すでに具体的なテーマが見えています。