2025.06.08

カスタマーサクセスと営業の違いとは?役割・目的・KPIを徹底比較し、連携の秘訣を解説

「カスタマーサクセスと営業、名前は聞くけど具体的に何が違うの?」
「うちの会社でもカスタマーサクセス部門を作ったけど、営業との役割分担が曖昧で現場が混乱している…」
「顧客満足度を上げるために、営業とカスタマーサクセスがどう連携すればいいのか分からない…」

このような疑問や悩みを抱えていませんか?
特にSaaSビジネスやサブスクリプションモデルが広がる中で、カスタマーサクセスの重要性はますます高まっています。しかし、営業との役割の違いや連携方法が不明確なままだと、業務の重複や抜け漏れが発生し、最悪の場合、顧客満足度の低下や解約につながりかねません。

この記事では、「カスタマーサクセスと営業の違い」という疑問に焦点を当て、それぞれの役割、目的、顧客との関わり方、そして評価指標(KPI)の違いを明確に解説します。さらに、両者が効果的に連携するためのポイントもお伝えします。

この記事を読めば、あなたは以下のことができるようになります。

  • カスタマーサクセスと営業の役割・指標の違いを明確に整理できる
  • 自社の事業や組織に合わせた最適な業務分担のヒントが得られる
  • 顧客体験(CX)を最大化するための組織づくりの第一歩を踏み出せる

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カスタマーサクセスと営業の4つの違いとは?

カスタマーサクセスと営業は、どちらも顧客と接点を持ち、企業の成長に貢献する重要な役割を担っています。しかし、その目的や業務内容は大きく異なります。これらの違いを理解することが、効果的な組織運営の第一歩です。

ここでは、それぞれの役割、目的、顧客との関わり方、そして評価指標(KPI)の違いについて詳しく見ていきましょう。

  1. 役割と業務内容の違い
  2. 実施目的の違い
  3. 顧客との関わり方の違い
  4. 評価指標(KPI)の違い

1. カスタマーサクセスと営業のそれぞれの役割と業務内容の違い

カスタマーサクセスと営業は、顧客ライフサイクルの異なるフェーズで活躍します。それぞれの具体的な役割と業務内容を理解することで、両者の違いがより明確になります。

営業の役割・業務内容

営業の主な役割は、新規顧客を獲得し、自社の製品やサービスを販売することです。見込み顧客(リード)に対してアプローチし、ニーズをヒアリングし、最適な提案を行い、最終的に契約を締結することがミッションです。

主な業務内容としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 見込み顧客の発掘・リスト作成
  • テレアポやメールなどによるアプローチ
  • 商談・ヒアリング
  • 製品・サービスのデモンストレーション
  • 提案書の作成・プレゼンテーション
  • 価格交渉・クロージング
  • 契約手続き

営業は、顧客が製品やサービスを「購入するまで」のプロセスに責任を持ちます。

カスタマーサクセスの役割・業務内容

一方、カスタマーサクセスの主な役割は、契約後の顧客が製品やサービスを最大限に活用し、期待する成果(サクセス)を実現できるよう能動的に支援することです。これにより、顧客満足度を高め、継続利用を促し、アップセルやクロスセルにつなげることがミッションとなります。

主な業務内容としては、以下のようなものが挙げられます。

  • オンボーディング支援(導入初期のサポート)
  • 活用促進のためのトレーニングやワークショップの実施
  • 顧客からの問い合わせ対応(テクニカルサポートと連携することもある)
  • 定期的な利用状況のモニタリングと分析
  • 顧客の課題解決に向けた能動的な提案
  • アップセル・クロスセルの機会創出と提案
  • 契約更新のサポート
  • 解約阻止のためのアクション
  • 顧客からのフィードバック収集と製品開発部門への連携

カスタマーサクセスは、顧客が製品やサービスを「購入した後」のプロセスに責任を持ち、長期的な関係構築を目指します。

オンボーディングや活用支援といった具体的な業務については、別の記事でより詳しく解説していますので、そちらも参考にしてください。

2. カスタマーサクセスと営業の実施目的の違い

役割や業務内容が異なるように、営業とカスタマーサクセスが目指すゴール、つまり「目的」も異なります。この目的の違いを理解することが、それぞれの活動の方向性を定める上で非常に重要です。

営業の目的

営業の最大の目的は、新規契約を獲得し、売上を創出することです。企業が成長するためには、新たな顧客を開拓し続ける必要があります。営業部門は、その最前線に立ち、市場に製品やサービスの価値を届け、事業拡大のエンジンとしての役割を担います。

短期的な売上目標や契約件数の達成が重視される傾向にあります。

カスタマーサクセスの目的

カスタマーサクセスの最大の目的は、顧客の成功を通じて、LTV(顧客生涯価値)を最大化することです。LTVとは、一人の顧客が取引期間全体を通じて企業にもたらす総利益のことです。顧客が製品やサービスに満足し、継続的に利用し、さらに上位プランや関連製品を購入してくれることで、LTVは向上します。

そのために、解約率の低減、顧客満足度の向上、アップセル・クロスセルの促進などを目指します。長期的な視点で顧客との良好な関係を築き、維持することが重視されます。

3. カスタマーサクセスと営業の顧客との関わり方の違い

営業とカスタマーサクセスでは、主に接する顧客のステージが異なります。これにより、コミュニケーションの取り方や関係性の深さにも違いが生まれます。

営業の関わり方

営業は、主にまだ自社の顧客ではない「見込み顧客」や「新規顧客」と接します。関わる期間は、初回接触から契約締結までが中心となり、比較的短期間であることが多いです。信頼関係をスピーディーに構築し、顧客の課題やニーズを的確に捉え、自社製品やサービスがその解決策となることを説得力を持って伝える能力が求められます。

顧客の購買意欲を高め、意思決定を後押しすることが重要なポイントです。

カスタマーサクセスの関わり方

カスタマーサクセスは、主に既に契約を締結した「既存顧客」と接します。関わる期間は、契約直後のオンボーディングから始まり、顧客がサービスを利用し続ける限り継続するため、非常に長期間にわたることが一般的です。顧客のビジネスや目標を深く理解し、伴走者として成功を支援することで、長期的な信頼関係を構築します。

顧客が抱える課題に寄り添い、プロアクティブ(能動的)に解決策を提示し、顧客の成長をサポートすることが重要です。

4. カスタマーサクセスと営業の評価指標(KPI)の違い

それぞれの目的や役割を達成するために、営業とカスタマーサクセスでは重視される評価指標(KPI:重要業績評価指標)も異なります。

適切なKPIを設定することは、各部門の活動を正しい方向に導き、成果を正当に評価するために不可欠です。

営業のKPI

営業部門の成果は、主に新規顧客獲得と売上に関する指標で評価されます。代表的なKPIには以下のようなものがあります。

  • 新規契約数・新規契約獲得社数
  • 契約金額・売上高
  • アポイント獲得数
  • 商談化率(リードから商談に至った割合)
  • 成約率(商談から契約に至った割合)
  • 目標達成率

これらのKPIは、比較的短期間で成果が明確に現れるものが多く、営業担当者のモチベーションにも繋がりやすいと言えます。

カスタマーサクセスのKPI

カスタマーサクセス部門の成果は、顧客の成功とLTV最大化に関連する指標で評価されます。代表的なKPIには以下のようなものがあります。

  • 解約率(チャーンレート):一定期間内に解約した顧客の割合。最も重要な指標の一つです。
  • 顧客維持率(リテンションレート):一定期間内に契約を継続した顧客の割合。
  • アップセル・クロスセル率(売上金額):既存顧客による追加購入や上位プランへの移行の割合や金額。
  • LTV(顧客生涯価値):一顧客が生涯を通じて企業にもたらす利益。
  • 顧客満足度(CSAT):製品やサービスに対する満足度。
  • オンボーディング完了率:導入初期の目標を達成した顧客の割合。
  • ヘルススコア:顧客が製品やサービスを健全に活用できているかを示すスコア。

これらのKPIは、営業のKPIに比べて成果が出るまでに時間がかかるものや、複数の要因が絡み合って結果に繋がるものが多いのが特徴です。

そのため、短期的な成果だけでなく、長期的な視点での評価が求められます。

なぜ今、役割分担と理解が重要なのか?

カスタマーサクセスと営業の役割やKPIの違いを明確にすることは、単に業務分担を整理する以上の意味を持ちます。

両者の違いを深く理解し、それぞれの専門性を尊重することで、初めて顧客中心のビジネスプロセスが実現します。これが曖昧なままでは、現場の混乱や責任の押し付け合い、最悪の場合は顧客体験の低下を招きかねません。

「なぜこの役割が必要なのか?」という本質を理解することが、組織全体のパフォーマンス向上に繋がるのです。

なぜ連携が重要?カスタマーサクセスと営業が協力するメリットと方法

カスタマーサクセスと営業は、それぞれ異なる役割と目的を持っていますが、企業の成長と顧客満足度の向上という共通のゴールを目指しています。そのため、両部門が緊密に連携することは非常に重要です。

ここでは、連携が生み出すメリットと、スムーズな連携を実現するための具体的な方法について解説します。

連携が生み出す3つの大きなメリット

カスタマーサクセスと営業が効果的に連携することで、企業は多くのメリットを享受できます。主なメリットとして以下の3点が挙げられます。

  1. 顧客満足度の向上と解約率の低減
  2. アップセル・クロスセルによる売上増加とLTVの最大化
  3. 顧客情報の共有による営業効率の向上

1. 顧客満足度の向上と解約率の低減

営業が獲得した顧客情報をカスタマーサクセスへスムーズに引き継ぎ、顧客が期待する価値を契約初期から一貫して提供することで、顧客満足度は大きく向上します

営業段階で顧客が抱いていた期待と、契約後の体験にギャップが生まれることを防ぎます。満足度が高まれば、当然ながら解約率は低減し、安定した収益基盤の構築に繋がります。

2. アップセル・クロスセルによる売上増加とLTVの最大化

カスタマーサクセスは、日々の活動を通じて顧客のニーズや課題を深く理解しています。この情報を営業と共有することで、最適なタイミングでアップセル(より高価格帯のプランへの移行)やクロスセル(関連製品・サービスの追加購入)の提案が可能になります

結果として、顧客単価が向上し、LTV(顧客生涯価値)の最大化に貢献します。

3. 顧客情報の共有による営業効率の向上

カスタマーサクセスが得た顧客からのフィードバック(製品への要望、競合情報、成功事例など)は、営業にとって非常に価値のある情報です。これらの情報を営業戦略や提案内容に活かすことで、新規顧客獲得の精度や効率を高めることができます

また、既存顧客の成功事例は、見込み顧客への強力なアピール材料となります。

スムーズな連携を実現するためのポイント

メリットは理解できても、実際に連携をスムーズに進めるのは簡単ではありません。ここでは、効果的な連携を実現するための具体的なポイントを3つご紹介します。

1. 部門間の情報共有とコミュニケーションの強化

最も基本的なことですが、営業とカスタマーサクセス間での情報共有の仕組みを構築し、定期的なコミュニケーションの場を設けることが不可欠です。具体的には、以下の取り組みが考えられます。

  • CRM(顧客関係管理システム)やSFA(営業支援システム)を活用し、顧客情報を一元管理する。営業担当が記録した商談内容や顧客の期待値を、カスタマーサクセス担当が契約後すぐに確認できるようにします。
  • 定期的なミーティング(週次、月次など)を実施し、成功事例、失敗事例、顧客からのフィードバック、市場の動向などを共有する。
  • Slackなどのチャットツールを活用し、日常的な情報交換や相談が気軽にできる環境を作る。

特に、営業からカスタマーサクセスへの顧客情報の引き継ぎは、顧客体験の質を左右する重要なポイントです。引き継ぎ漏れや認識の齟齬がないよう、ルールを明確化しましょう。

この「引き継ぎ」の質が低いと、顧客は同じ説明を何度も求められることになり、大きな不満を感じる原因となります。

2. 共通の目標設定と相互理解の促進

部門ごとにKPIは異なりますが、その上位には「顧客の成功」や「LTV最大化」といった企業全体の共通目標が存在するはずです。この共通目標を両部門で認識し、それぞれの役割がどのように貢献するのかを理解し合うことが重要です。

  • 共通の目標(例:特定セグメントの顧客のLTV向上、解約率のX%削減など)を設定し、それに対する各部門の貢献を明確にする。
  • お互いの業務内容や課題について理解を深めるための勉強会やワークショップを実施する。
  • 成功事例を共有し合い、お互いの貢献を称賛する文化を醸成する。

相互理解が深まることで、相手の立場を尊重した協力体制が生まれやすくなります。

3. 顧客利益を最優先に考える組織文化の醸成

最終的に、最も重要なのは「顧客にとって何が最善か」を常に考える組織文化を育むことです。部門の都合や個人の目標達成よりも、顧客の成功を優先する意識が全社的に浸透すれば、自然と連携は強化されます。

  • 経営層が率先して顧客中心主義の重要性を発信し続ける。
  • 顧客からの感謝の声や成功事例を社内で積極的に共有し、顧客志向のモチベーションを高める。
  • 部門間の壁を取り払い、顧客の課題解決のために柔軟に協力できる風土を作る。

このような文化が根付くことで、営業もカスタマーサクセスも、同じ方向を向いて顧客のために行動できるようになります。

カスタマーサクセスと営業の具体的な連携方法やツールについては、さらに詳しい情報を別の記事でご紹介する予定です。そちらもぜひご覧ください。

連携は「仕組み」と「心」の両輪で

営業とカスタマーサクセスの連携を成功させるためには、「情報共有の仕組み」を整えることと、お互いを尊重し協力し合う「心理的な土壌」を作ることの両方が不可欠です。

どんなに優れたツールを導入しても、現場のスタッフが「なぜ連携が必要なのか」「連携することでどんなメリットがあるのか」を心から理解し、納得していなければ、形だけの連携に終わってしまいます。

特に、役割や評価が変わることに対する現場の不安や抵抗感は大きいものです。変化を強いるのではなく、小さな成功体験を積み重ねながら、徐々に協力体制を築いていくことが重要です。

例えば、「まずは月一度、お互いのうまくいった事例を共有する会を開いてみよう」といった、始めやすい一歩から試してみてはいかがでしょうか。そうした地道な取り組みが、やがて大きな成果へと繋がっていきます。

カスタマーサクセスと営業の違いまとめ

この記事では、「カスタマーサクセスと営業の違い」をテーマに、それぞれの役割、目的、顧客との関わり方、KPIの違い、そして両者が連携する重要性について解説しました。

主なポイントを改めて整理しましょう。

  • 役割・業務内容の違い:営業は「新規顧客獲得(契約前)」、カスタマーサクセスは「既存顧客の成功支援(契約後)」が主な役割です。
  • 目的の違い:営業は「売上創出・新規契約獲得」、カスタマーサクセスは「LTV最大化・顧客の成功」を目的とします。
  • 顧客との関わり方の違い:営業は「見込み顧客・新規顧客」と短期的に、カスタマーサクセスは「既存顧客」と長期的に関わります。
  • KPIの違い:営業は「新規契約数、成約率」、カスタマーサクセスは「解約率、アップセル率」などが代表的なKPIです。
  • 連携の重要性:両者の連携は、「顧客満足度の向上」「LTV最大化」「営業効率の向上」といった大きなメリットをもたらします。

これらの違いを明確に理解し、それぞれの専門性を活かしながら連携体制を構築することが、顧客体験(CX)を向上させ、ひいては企業の持続的な成長を実現するための鍵となります。

もしあなたが、自社の営業とカスタマーサクセスの役割分担や連携について課題を感じているなら、まずはこの記事で解説した基本的な違いを社内で共有することから始めてみてはいかがでしょうか。そして、あなたの会社の状況に合わせて、最適な業務分担や連携のあり方について、関係者で話し合ってみてください。

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