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2024.09.24

[イベントレポート] CS寺子屋Vol.16「KPI設定とモニタリング」

顧客満足度の向上、顧客維持率の改善、アップセル・クロスセルへの貢献など、CSが追いかけるべき指標は多数あるかと思います。その中でどのようにKPIを設定すべきかということに悩まれている方は多いのではないでしょうか。

そこで寺子屋Vol.16では、「KPI設定とモニタリング」と題して、株式会社Channel Corporation 執行役員 鈴木 諒さんと イタンジ株式会社 原島 宗三さんにご登壇いただき、どのような観点でKPIを設定し、またどのように設定したKPIを適切に分析・モニタリングを実践して改善につなげているのかということをお聞きします。

スピーカー紹介

株式会社Channel Corporation
執行役員
鈴木 諒

Webマーケティング会社にて人事、広報を経験した後、数社の事業再生を経験。
チャネルトークにカスタマーサクセスとして入社し、300社の伴走支援を行う。
現在は「Customer Driven」な企業を増やすために日々過ごしている。
強みは組織戦略と事業戦略のバランスを取り、事業を成長させること。

イタンジ株式会社
原島 宗三

複数社のCS立ち上げを行い、2019年にラクスル株式会社ハコベル事業本部・デジタル戦略部に入社。
集客、営業からオンボード・オペレーション構築など事業開発として幅広く従事。
2020年イタンジ株式会社へ転職し、CS企画を立ち上げる。
オペレーション改善や事業推進を担当。2022年に退職、
CS向けのコンサルティングやアドバイザーや新規事業開発などフリーランスとして活動している。


登壇1 株式会社Channel Corporation 鈴木 諒さん

今回、お伝えしたいことは「答えは顧客にある」ということです。

こんな人に聞いてほしい

・いいKPIが見つからない
・いいヘルスコアがわからない
・いいモニタリング方法がわからない
・びっくり解約が最近起きた
・今のKPIに違和感がある

上記の中で私がよく相談いただくのは「今のKPIに違和感がある」ですが、
そのアンサーは「答えは顧客にある」と考えていますので、詳細についてご説明します。

前提と活動前の状況

前提としては下記です。

MRRという会社の売上面に貢献しながら、今後の売上に直結するような成功事例を作っていくことがCSの役割でした。

ただ、最初の方は、ダウンセルや解約もあってMRRはマイナス30万円/月という実績で、成功事例も3カ月に1件の記事を出すような厳しい状態でした。

このような状態でしたので、数字的にも精神的にも大変で、解約通知が来ないかを1日中ドキドキしながら気にする状況が続いていました。

うまくいってない時期の失敗について

うまくいっていない時期にやっていたことが3つあります。

①Upsellに注力
MRRのマイナスをカバーするためにUpsellに注力しましたが、なかなかうまくいきませんでした。

②解約防止に注力
攻めの活動となるUpsellがうまくいかなかったこともあり、守りの活動となる解約防止にも注力し、セミナーを開催したり、有効な利用方法のご案内などを行いました。

③Health Scoreへの固執
自分たちなりのヘルススコアとして「問い合わせ発生数」と「返信数」をHealth Scoreとして定義したものの、定義したHealth Scoreは顧客から見た導入効果とは結びついておらず、解約されるケースがありました。

このようなうまくいかない期間が半年ほど続いたときに、

当社の代表となぜうまくいかないのかを議論した結果、これらの指標は誰にとっての指標なのか?という話になりました。

結局、自分たちが追いかけていた指標は、すべて自分たち目線のものであり、それらの指標を追いかけても結果がでないのは当たり前だということに気づきました。

しかし、顧客目線に変えていきたくても、これまで一方的なコミュニケーションしか取れていなかったこともあり、まずはお客様のことを理解するところから始める必要がありました。

考え方を変えてからやったこと

考え方を変えてからやったことは2つあります。

①ラポール形成
ラポール形成とは「信頼関係を築くこと」ことです。
お客さまとラポール形成するために、私自身が取り組んだことは下記です。

・契約先企業150社すべてに対して、打ち合わせのお願い
・打ち合わせの開催が難しい場合には電話をする
・顧客に対しては、機能説明や現状を確認する

これらの活動を行いながら、信頼関係の構築に努めました。

②導入目的と到達度の把握
何のために製品導入しているのかの目的の確認と、目的に対する現在の到達度を1社ずつ把握するためにアプローチしていきました。

KGIの変化

これらの取り組みを行った結果、MRRはプラスに転じ、成功事例も1.5件/月の実績を出すことができるようになりました。

会話を通してお客様のことを知ろうとすれば、自ずと課題や解決策が見つかるので、結果的にアップセルや解約の防止に繋がります。

また、お客様との会話の中でうまくいっていることが見つかれば、成功事例として取材させていただく依頼もできます。

このようにして、会話を通してお客様のことを深く知ることで、KGI達成のサイクルが作れるようになりました。

設定していたKPI

これまでの内容を、今回のテーマである「KPI設定とモニタリング」に当てはめて考えると下記のようになります。

ラポール度は、法人同士の関係値 を測るものとしていました。

導入目的は、「果たしている企業」には成功事例化のためのアクションを取り、「果たせそうな企業」には果たせるようにサポートをしていく。「危険な企業」には打ち手をとっていくといったように泥臭い活動を行っていました。

モニタリングしていた内容と方法

モニタリングにおいては、下記のような指標を見ていました。

●モニタリング内容
 ・Chat/MAUの推移(週次)
 ・ログイン数(週次)

●モニタリング方法
 ・自社AdminでのCheck

でも、結局は会話した方が早いので、「お客様と電話で会話する」ということをモニタリングしていました。

まとめ

あらためて、今回、私がお伝えしたかったことは「答えは顧客にある」ということです。

今のKPIに違和感を持っている方は、1日のうちの1時間でも業務時間中の20%で良いので、お客様と何気なく会話をすることで、KPIやモニタリングに繋がるものが見つかるのではないかと思っています。

Q&A

QuestionAnswer
導入目的の達成度は、お客様の主観評価で取っていましたか?お客様が言っている感情部分と、自分が主観的に達成していると考えている部分と2軸で取っていました。
現在も初期の頃と同じKPIを設定して活動をしているのですか?現在も今回説明したKPIを設定していますが、加えて、お客様の活用度を測る定量的な指標も設定して検証を重ねている状況です。
初期のころはハイタッチ中心に活動されていたと思いますが、現在はどうですか?現在は、「ハイタッチ」専属者1名を配置し、その他の4名は「ロータッチ」、「テックタッチ」を行いながら、サポートセンターの役割も担っています。
組織を拡大する時に工夫したことはありますか?入社時から「お客様とは良いものをより良くしていくためのパートナー」という思想・文化の形成を大事にしています。
成功事例の定義をどのように策定されましたか?以下の2点です。セールス観点で、事例展開できれば「MRRに直結する事例」であるということ。CS観点で、事例展開できれば「他ユーザーに共有することで効果が見込める事例」であるということ。
 

 


登壇2 イタンジ株式会社 原島 宗三さん

今回のセミナーのゴールは「何か一つでも KPI設計 のタネを持ち帰っていただくこと」だと思っています。

KPIの工程

私たちが「KPIの軌跡」としてやってきたことは下記です。

①あるべき姿の設計
②フローの見える化
③フォーカス設定
④モニタリング

順に詳細をご説明します。

「あるべき姿の設計」について

「あるべき姿の設計」においては、顧客がサービスを通して、どういった成功をしていくのか/したいのかを明らかにすることが重要です。ここでいう「成功」はお客さまにとっての成功であり自分たちの成功ではありません。

また、お客様が求める成功とは、顧客のサービス特性によって変わるため、サービス内容を理解して「求める成功」や「どのような課題を解決したいのか」を言語化してあげる必要があります。

お客様の成熟状態を時系列で区切って、状態別に提供できることやポイントを記載して共有することで、社内外でコンセンサスを取ることができます。

「フローの見える化」について

「フローの見える化」においては、設計責任者が必ず現場業務を理解/把握することが重要であり、 現場のことをより深く知っている人 ないし お客様ときちんと会話している人 が設計しないと失敗します。

KPIを達成するには、CS内だけで活動するのではなく、営業やマーケティングの協力が不可欠です。

営業からCSまでのフローも下記(図は営業フローのみ)のように図式化しておくことで問題点の共有がしやすくなり、営業やマーケティングに対してKPI達成のためのフィードバックをしやすくすることができます。

KPI=売上に因数分解

私個人の考えではKPIは売上の因数分解だと考えています。

イタンジでは「付帯売上」から「付帯平均単価」と「付帯総客数」といったような指標に分解をして、さらに分解を繰り返して、CSのKPIとなる『一人頭の平均オンボード社数』や『アクティブ率』といった指標を設定しています。

『アクティブ率』に課題がある場合には、さらに分解をして問題点を明らかにして、その問題点をKPIとして設定します。

売上を伸ばすための取り組みとして、月に一度、業務プロセスごとの現状の取り組みと課題を洗い出して資料に起こして、チーム内に共有することで社内のコンセンサスを取るようにしています。

「フォーカス設定」について

フォーカス設定のために営業の領域とCSの領域を細かく図式化したものを用意していました。

当時、会社戦略としてクロスセルの強化を目指す中でトスアップをCSのKPIとして設定していましたが、CSメンバーに営業経験者がほとんどいなかったり、リソースも限られている状況でした。

そのような状況下でも、トスアップを実現できるように、さらにKPIを細かくして、「顧客の達成状況に応じたトスアップ」や「決済者の同席のトスアップ」などを設定していました。

課題が把握できたら、優先順位をつけてスケジュールに落とし込んだ資料を用意します。

その資料を社内共有して、コンセンサスを取ります。

「モニタリング」について

KPIを達成することで、何に対して効果がどれほどあるのかを定量的に出すことで、KPIを達成すべき根拠を強めることができます。

この情報をCSだけでなく社内全体に展開して「何のためにKPIを達成しようしているのか」を共有することが重要です。

また、KPI達成に向けて投下するリソースも社内に共有することをお勧めします。

Q&A

QuestionAnswer
(複数プロダクトがあることを前提に)メンバーはどういう役割分担で、どういったKPIを追っているのですか?メンバーは全製品(8プロダクト)を理解しています。プロダクトごとにCS担当者が変わることによってお客様のストレスになると考え、CSの負荷は高くなりますが、育成を強化して全製品を習得するようにしています。KPIはMRRと導入社数を追っています。
メンバーに全製品を理解してもらうための、社内オンボーディングで苦労したことや教育体制について教えて下さい。苦労したのは、メンバーに理解してもらうことですが、根気強くやることの意義を説明して納得していただきました。教育体制については、イネーブルメントチームを設けており、教育、サポート、テストを実施しています。全製品を習得するのに約1年ほど要しました。
売上を分解していくなかで、フォーカスする点の選定基準を教えて下さい。掛け算で詰みあがっていくので、売上への影響度が高い指標を優先していくべきだと考えます。また、その指標は自分たちでコントロールできるかどうかも見極める必要があります。
CSQL(見込み顧客)創出のためのナーチャリング活動について教えて下さい。定期的にアンケートを取るようにしています。そのアンケートの中には各製品の課題を抽出できるものが設定されているので、その回答状況に応じて、CSがアプローチするようにしています。あとは、ハイタッチ活動や、ユーザーセミナーを開催しています。

カスタマーサクセスのKPI設計に課題をお持ちならKOMMONS

株式会社KOMMONSでは「働くを、傍楽に」というVisionの元、事業を進めている会社です。国内最大級のカスタマーサクセスコミュニティを基盤に、カスタマーサクセス特化型のキャリア支援事業、カスタマーサクセス設計支援事業の2つを提供しています。

急速に拡大しつつあるカスタマーサクセス市場において、即戦力の人材を採用するのは非常に困難です。弊社では、オンラインコミュニティに登録する約700名のカスタマーサクセス人材の中で、経験者や潜在能力のある未経験者を紹介できます。

また、どのようにKPIを設定すべきかから提案可能です。人材を採用する前のプロセスから寄り添うことで、カスタマーサクセス組織の成長に伴走し、必要に応じて適切なスキルセットの人材を副業・業務委託・転職といったさまざまな形で紹介することができます。