2024.09.24
属人化から脱却。業務委託人材を活用し、事業全体を見渡したオンボーディング設計へ【株式会社サイシード様】
独自開発のAIでお問い合わせを自動化するsAISearch&sAIChat
自己紹介をお願いします
中静さん:株式会社サイシードの中静と申します。北海道のコールセンターでキャリアをスタートしました。10年間働いたのですが、最初はオペレーターからスタートでした。最終的にはマネージャーとしてアカウントを複数持ち、コールセンターの立ち上げから収支管理まで全体的に担当しました。2019年に上京してSaaSのスタートアップに入社し、カスタマーサクセスチームのマネジメントを立ち上げたのち、事業開発や新しい販売チャネルの開拓など幅広く経験した次第です。
去年の10月に株式会社サイシードにジョインし、COOとして事業全般を管轄しています。
自分のキャリアは、一貫して既存のお客様に対してのアプローチ・コミュニケーションを中心に進んできているなと思います。
儀間さん:MOVEMENT株式会社の代表の儀間と申します。新規事業の立ち上げや、組織変革をしたいという企業様に対して、企画と実働ができる外部チームを提供するSIDE PROJECTという事業をしています。
経歴としましては、新卒で医療機関のWeb予約システムの販売営業からスタートしました。その後クラウドサインに入社して営業を2年半ほどやってから、新規事業の責任者を経て独立しました。
クラウドサインでは副業が認められていたので、個人で10社ほどのお客様を支援していたのですが、その中でカスタマーサクセス組織を立ち上げた経験が3社ほどありました。そういった文脈の中でKOMMONSさんにお声掛けいただいて、ご縁がありサイシードさんと働かせていただいております。
サービスの紹介をお願いします。
中静さん:今主戦力にしているのは、sAIChatとsAISearchの2つのサービスです。
sAISearchは、サイト内にページ内全体を検索するための検索窓を別でつけることで、よくあるお問い合わせなど、お客様のユーザーの知りたいことをピンポイントでヒットさせるサービスです。AIが提示するタグの中から、疑問に思っていることと関連しそうなタグを直感的に選択していくだけで、FAQが絞られていき、目的の回答にたどり着くことができます。弊社は独自開発のAIに強みを持っていまして、それによってユーザーが見たいページに辿り着くまでの工数が非常に少なく、他社と比べても平均で1〜2クリック減少できています。
sAIChatは、読んで字の如く、チャットボットを企業様のサイト内に埋め込みでご提供しています。非常に高い精度で、的確にユーザーのお問い合わせに対応することができます。
プロダクトを使ってお客様に継続的に結果を出してもらうのがカスタマーサクセスの役割
サイシードのカスタマーサクセスのミッションを教えてください
中静さん:私がジョインしてから一貫して考えていることは、使っていただいてるお客様を解約させないことです。当たり前のことですが、これはとても大切に思っています。元々は業務効率化という明確な文脈の中で入れて頂いているのにも関わらず、解約されるということは、期待していた結果が出なかったということに他なりません。これはお客様はもちろん、プロダクトを作ったこちら側も望んでいないことです。
継続してお客様に結果を出してもらうために、基本的なことですが私たちがプロダクトを理解して、お客様に浸透させていくことをサボらず常々やろうと意識しています。
話は少し外れてしまいますが、中静さんはカスタマーサポート・カスタマーサクセスを両方経験して、その違いはどこにあると思われますか?
中静さん:やはり、お客様から来た問い合わせをしっかりと受けて返す業務がカスタマーサポート領域で、カスタマーサクセス領域はもう一歩踏み込んだ部分だと考えています。実際の業務は様々ですが、本質的には、お客様にどう自社のサービスを使ってもらうか・そのお客様がどうして行くべきかを考えるのがカスタマーサクセスです。
カスタマーサポート・カスタマーサクセスとキッパリ分けられがちですが、一般にカスタマーサポートと言われるお問い合わせ対応も含めて、それも一つのカスタマーサクセスの形なのかなと。業務・組織というよりかは、既存のお客様を満足させるという役割自体がカスタマーサクセスなんだと考えています。
なるほどです。カスタマーサクセスの役割の中に、カスタマーサポートの業務があるのですね。
人手不足で属人化が露呈。安定したサービスを提供するために業務の標準化・効率化が必須に。
儀間さんがサイシードに入られた当時の課題はなんだったのでしょうか?
儀間さん:現状40社以上のハイタッチのお客様を、一社一社に担当が紐付いている形で、4〜5人で担当しています。単純に人手不足でもありますし、退職などの理由で担当が外れた時に、十分なサービスを提供できないリスクがあるので、効率的に数多くのお客様を担当できるようになるというのが、当時も今も課題ですね。
私がジョインしたタイミングではとにかく属人的だったので、スキル標準化・効率化を先に見据えつつも、とにかく泥臭く全てをキャッチアップして行くことから始めました。
週1回のミーティングでのキャッチアップを当初予定していたのですが、無理だなと早々に気づきまして(笑)。まずはお客様との定例会に同席するなど、なるべく解像度を上げるために、現場でやってることを知れるところは全部知りに行きました。
中静さん:確かに属人化している部分はありますね。現状一社ずつハイタッチ的に担当することでそれぞれの会社の理解は深めていけているのですが、これからは数社にわたっての理解を深めていきたいです。業界ごと、例えばお客様に銀行が複数社いるのですが、業界に特化したCSコンサルのような、横展開でナレッジを共有していけたらと思います。
結果的に効率化が進んで、ハイタッチしつつもロータッチ・テックタッチの部分にも移行できる部分はしていけるのではないかなと。
中静さんがジョインしたタイミングで、業務委託人材である儀間さんに引き続きサポートして欲しいと思った理由はどこにあるのでしょうか?
中静さん:すでに儀間さんが担当しているお客様がいたので、そのお客様たちに対してベストな価値を提供するという意味で、引き続き担当していただくのは自然な流れでした。新しく正社員を採用すると、育成にどうしても時間がかかり、その間お客様にはベストな価値を提供するのは難しくなります。
また、業務委託人材の良いところとして、会社の文化に無い、新しい価値観やナレッジを共有してもらえることが挙げられます。儀間さんは特に、自身で会社を作っていらっしゃるので、そういった意味でも勉強になることはたくさんありますね。これからも引き続き一緒にお仕事させて頂きたいなという気持ちです。
大切なのは自ら情報を取りに行く姿勢。期待値のズレを無くすことで解約数が半減。
儀間さんがサイシードをサポートしてから、実際の効果はどんなものがありますでしょうか?
中静さん:この1年間とにかく解約を無くそう・お客様を繋げていこうとガムシャラにやっていました。結果として、チャーンレートのアベレージが1.2%に抑えられましたが、その中でも儀間さん担当のお客様で解約になったケースはアベレージの半分でした。そういった意味でも単純にプレイヤーとして優秀ですし、安心できます。
また、これは業務委託の方全体に当てはまることかもしれませんが、自ら情報を取りに行く姿勢にとても助かっています。例えば、他で解約になってしまったケースでも、リテンション案などその後のアクションについて儀間さんが提案してくれ、他の社員にも非常に有効なナレッジが共有されるのは良い循環ですね。
儀間さん:期待値のズレを極力なくすような動き方を常に心がけていますね。お客様の目指している方向と乖離があってはいけないなと。
年度や担当者が変わることでお客様の状況の変化が必ず起こっているので、「何か変わったことありますか?」「今目指してるところはどこですか?」といった具合に、毎月の定例会でしつこいぐらい確認するようにしています。
儀間さんがサイシードをサポートして個人的に成長したと思うポイントはなんでしょうか?
儀間さん:個人のスキルとしては、大量のデータから示唆を見出すことですね。金融系の会社や鉄道会社、小売店など、様々な業種のお客様がいらっしゃる中で、見なければいけないデータの量が多様かつ膨大になります。一社で大体30万件ほどです、多いですよね(笑)。その中から明確な示唆を出さなければならないのですが、回数を重ねるごとに精度が上がっている感覚があります。その結果として解約があまり無いのかなと。
自身が会社経営するにあたって、組織構築で勉強になったことは、業務委託でもちゃんと会社は回ることを身をもって知ったことです。これは意外でした。正社員がいることで組織はもっと強くなると思いますが、正社員は上流工程を作りつつ、お客様は業務委託で対応するやり方があるんだと驚きました。
お客様のために、会社のためにという風に考えたら、本当は正社員・業務委託は関係無いです。
今回KOMMONSを通して、儀間さんにオンボーディング設計支援を追加でご依頼いただいた経緯を教えてください。
中静さん:今となっては笑い話なのですが、当初はオンボーディングプロセスを設計する担当が私しかいなかったので、行き詰まっていました。私自身もお客様を担当していた経験はあるものの、何十社と担当していたわけでは無いので、一番現場の声を知っている儀間さんに協力をお願いする、というのは自然な流れでした。
また、上流工程から実際の業務の型化まで、既にKOMMONSさんと一緒にやらせていただいていた部分があったので、そこが最終的な決め手になりましたね。
儀間さん:今まさに中静さんと進めているのですが、当初想定したよりも、もっとオンボーディング中で重要なテーマが沢山見つかってきている最中です。来年度も成長していくために解約を減らして追加で売上を作っていく上で、カスタマーサクセス企画領域に留まらず、事業企画領域など会社の事業全体を見て必要な要素をさらに分解しています。
例えば、ハイタッチがついてないお客様に解約申し出が発生した際でも、そこから解約を防げる場合もあるので、そのやり方を統一化していきましょうというように、個別のテーマに落とし込んでいます。私の担当はカスタマーサクセス領域になりますが、中静さんから見た時にカスタマーサクセスだけでは事業が完結しないのは当たり前のことです。事業全体の構造を見ながら、全体感の中で着手する領域を決めるよう心がけています。
素晴らしいです。儀間さんの自らで会社経営をしているからこそのCSだけに留まらない観点ですね。
KOMMONSに合う会社はどんな会社だと思いますか?
中静さん:儀間さんのような完全に自走してくれる方に合うのは、我々のような10数人規模の小さい会社だと思います。計画を立ててそれを試しに実行する時に、猫の手も借りたいというような状況は小さい会社ではあるあるです。儀間さんが自走してアウトプットし続けて下さるのは、本当に助かるの一言に尽きます。
ただ、マッチするのは小さい会社だけかというとそういうわけでは無いです。白塚さんと密にコミュニケーションを取らせて頂いている中で、人手不足の瞬間にスポット的に業務を担当していただける方も紹介して頂けるので、規模感を問わず様々な会社にオススメできますね。
儀間さん:これからカスタマーサクセスの組織・ルールを作っていきたい会社や、既存の座組みをもう一度見直したい会社に合うと思います。KOMMONSさんの一番の価値としては、やはり国内でのCSのナレッジを、多様な業種・業界・粒度で、様々なポジションのプレーヤーの方から知っているところです。そのナレッジを活かして、改めて自社の組織がどうか・本来あるべき姿・必要なことが何か考え直して形にしていけると思います。
今後KOMMONSに期待することはありますか?
中静さん:これから我々の会社を大きくしていくために、プロダクトと同時に組織もスケールしていかなければなりません。組織運営をどうしていくか考えた時に、カスタマーサクセス領域だけではなく、セールスなど他の領域でも儀間さんのような方が必要です。これからのKOMMONSさんには、より事業を一緒にやっていけるような関係性を期待しています。